ここまで考えてくれていたなんて…。ブラック労働だけでは語れない、親が涙した「公立小の先生の熱意」

月45時間以上の残業、終わらない持ち帰り仕事で「やりがい搾取」と批判される日本の公立小学校。しかし、ドキュメンタリー映画監督の山崎エマ氏がカメラを向けると、そこには修学旅行の夜中まで「よりよい指導法」を議論する姿が……。(画像出典:PIXTA)

※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。

修学旅行の夜中に……。保護者が涙した“先生のリアル”

今の学校は、情報公開が叫ばれる時代の要請に従って保護者や地域に日々の活動をオープンに見せたいという気持ちと、そうは言っても苦情や不満のきっかけになるような情報はむやみに開示したくないという防御姿勢の間で揺れている印象です。

人間、何かを隠されていると感じれば、不信感が湧くものです。それでも何とかしようとする過程で、子どもを通して不正確な情報が耳に入ってしまい、余計に不安が募ったりする。

その結果、先生と保護者が大人同士で敵対することになったりしたら、本当に目も当てられない事態です。この状況が子どもにとって良いはずがないことは誰の目から見ても明らかです。

だからこそ、私の映画の中では先生方の人間らしい姿を意識的に映し出すようにしました。「先生も人間なのだ」という当たり前の事実を社会にあらためて認識してもらうことは、この映画の存在意義の一つだと思いました。

特に、映画に出て来た「修学旅行中にも夜な夜な『良い指導法とは何か』と考え、熱い議論を交わす先生方の姿」にはかなりの反響がありました。

親世代の観客からは「先生たちが子どものためにあれほどまでに悩み、考えてくださっているなんて思ってもみなかった。これからは今まで以上に学校と協力しようと思います」という感想をたくさんいただき、この映画での目標を一つ達成できたと嬉しく思っています。

完璧な人間がいないように、完璧な先生などいません。先生の言うこと、やることが全て正しいと信じなければいけない時代でもありません。

それでも、たとえば金儲けのために先生になるなんていう話は聞いたことがありません。志がなければできない職業だと思います。

問題のある先生が一部にいたとしても、その他大半の皆さんは子どもたちの未来のために精一杯尽くしているという事実を知ってほしいのです。
それでも息子を日本の小学校に通わせたい (新潮新書 1117)
それでも息子を日本の小学校に通わせたい (新潮新書 1117)
最初から読む

この書籍の執筆者:山崎エマ プロフィール
1989年(平成元)年兵庫県生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。19歳で渡米しニューヨーク大学映画制作学部卒業。日本社会の中で育まれた感性と、多文化環境で培った視点を重ね合わせ、独自の視点でドキュメンタリー制作を行う。代表作は日本の公立の小学校を1年間追った長編『小学校〜それは小さな社会〜』。100館を超える大ヒットを記録し、教育やドキュメンタリーの分野を越えて広く注目を集めた。短編作品『Instruments of a Beating Heart』は第97回米アカデミー賞の短編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされ、国際的にも高い評価を得た。
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    南海電鉄の新・観光列車「GRAN 天空」は“高野線の救世主”となれるか。100年ぶりサービス復活の勝算

  • ヒナタカの雑食系映画論

    フランス製アニメ映画『ARCO/アルコ』の「逆ラピュタ」な魅力。注目してほしい「持続可能」な世界とは

  • どうする学校?どうなの保護者?

    会費0円、会員3名でもPTAは回る。理想を形にした「架空の小学校」という驚きの手法

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策