推薦入試は「多様性」から「全国優等生大会」へ
推薦入試の初期は「文化資本がありそう」だったり、「ちょっと面白そう」だったりする学生も合格させていたようです。そのため、当時は中堅高校からも推薦入試での合格者が出てきました。ところが今、合格者の高校一覧をみると、全国のそうそうたる難関校が並びます。中堅校からの合格者は「まれ」な存在になっています。
つまり、かつては合格させていた「ちょっと面白そう」な学生の入学後のパフォーマンスが微妙だったのでしょう。今はもう、「ちょっと面白そうな中堅高校の子」は合格しなくなっています。中堅高校から合格するには、「アカデミックな視点で評価できる論文を提出した」などの実績が必要になります。
今や東大の推薦入試は、全国の難関高校で評定平均値がオール5の学生が合格していくような入試になっているので、「全国優等生大会」と私たち受験業界関係者は呼んでいます。
今回は東大の推薦で「卓越した能力」を求めるのに、実際には「難関高校で評定平均値が高い学生が合格していく入試」になった理由について言及しました。
要は成績がよくて、卓越した能力を持つ学生などほとんどいないのです。入学後、ちゃんと勉強してよい成績をとってくれる学生を確保するためには、難関高校で評定平均値が高い学生を選抜するのが「無難」という判断になっているように見えます。
では、多様性はどうでしょうか。東大は地方の学生や女子学生を増やしたいという思いがあるはずです。しかし、実際には推薦入試での合格者は大半が関東の学生で、女子よりも男子の方が多いのです。
この多様性の問題について次回は考えていきましょう。
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なぜ東大推薦は「首都圏の男子」が勝つのか。メダリスト不合格に見る、多様性の理想と選抜の現実 この記事の執筆者:杉浦 由美子 プロフィール
キャリア20年の記者。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)、『女子校力』(PHP新書)、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)など単著は14冊。『ダイヤモンド教育ラボ』、『ハナソネ』(毎日新聞社)『マネーポストWEB』(小学館)などで取材記事を寄稿している。趣味は取材。



