映画『MERCY/マーシー AI裁判』がAI時代の「過ち」を鋭く描いているワケ。3つの魅力を解説

映画『MERCY/マーシー AI裁判』は現代のAIへの向き合い方に、重要な知見を与えてくれる快作でした。その3つの魅力を解説しましょう。

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『MERCY/マーシー AI裁判』 1月23日(金)日米同時公開
映画『MERCY/マーシー AI裁判』が1月23日より公開中です。結論から言えば本作は超面白い! 始まり方および設定はややトンデモながら、娯楽作としての「ツカミ」は抜群ですし、さらには現代のAIへの向き合い方に、重要な知見を与えてくれる快作だったのです。

「薬物使用の描写がみられる」という理由でPG12指定がされていますが、それ以外では直接的な残酷描写や性的な話題はほぼなく、字幕の漢字が読める年齢からであれば問題なく楽しめる作品でしょう。
具体的な魅力を、決定的なネタバレにならない範囲で紹介していきましょう。予備知識ゼロで見たい人は、先に劇場へ駆けつけることをおすすめします。
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
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1:『search/サーチ』の発展形、AI裁判官×リアルタイム推理スリラー

本作のあらすじは、目を覚ますと、いすに縛りつけられて、目の前にはAIの裁判官がいて、いきなり『あなたは殺人の容疑者だ』と告げられるというもの。しかも、「深刻化した凶悪犯罪に対する厳格な治安統制のためにAIが司法を担っている」切迫した社会状況もあって、「90分以内に自分の無実を証明できなければその場で即時処刑される」というのです。
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「AIが裁判官だけでなく陪審員と処刑人も兼ねている」ことも含めて、はっきり言ってかなりムチャな物語の発端ではありますが、そこは「シンプルにタイムリミットでハラハラさせるための設定」として、寛大な心で受け入れてあげてほしいところです(願望)。

そこさえ乗り越えてしまえば、初めからノンストップ&フルスロットルで展開する、映画『マイノリティ・リポート』のような「追われながらも無実を証明しようとするサスペンス」として、映像的にも物語としても、すこぶる面白く感じられるはずですから。
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例えば、提示された証拠としての監視映像のそれぞれが、客観的に見て「主人公が犯人の可能性が高い」と思えるものなのです。観客としても、「こいつは本当に殺人を犯したのではないか?」と疑いをかけるでしょう。

さらに「制約」となっているのは、主人公がいすに腕と脚を縛り付けられていて、文字通りに身動きが取れないこと。それでも、「ネット上に存在するあらゆるカメラ映像へアクセスする権限」が与えられているため、彼は目の前のAI裁判官に音声で命令を出して、無実の証拠を見つけようと奮闘するのです。

その上で、あらゆるポイントをしらみつぶしに捜査をして、断片的な情報を集めていき、やがて「真実」に辿り着いていくという、「探偵もの」のツボを押さえた過程にワクワクできるはず。離れた場所にいながらも主人公の言葉を受けて行動する、同僚の女性警察官や、主人公の娘といったサブキャラクターの行動も見逃せません。
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しかも、『真昼の決闘』や『フォーン・ブース』などに代表される、「劇中の時間経過と映画としての上映時間がほぼ同じ」という「リアルタイム進行」だからこその緊張感もたっぷりと味わえるでしょう。

「実際は1つの場所から動いていないのに、ネットを駆使して謎解きをする」ことから連想したのは、本作で監督を務めたティムール・ベクマンベトフがプロデューサーとして関わっていた、「全編がPC上で展開する」特異な表現で話題を集め、高い評価を得た『search/サーチ』 でした。
今回の『マーシー』は空間に通信先の映像が3Dとして現れるなど、画がかなり派手になっており、さらに終盤の展開のツイストもより「効いて」いる、『search/サーチ』 の「発展形」と言える面白さがあったのです。
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裁く存在から支える存在へ。AIは「相棒」になれる
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