「いい大学に行けば、将来は安心」——多くの人が一度は耳にしたことのある言葉ですが、本当にそう言い切れるのでしょうか。
デンマークの学校では、成績や順位で子どもを比べることはほとんどありません。
本記事では、『経済力も幸福度も高くなる デンマークのすごい教育』(ニールセン北村朋子・著/青春出版社)より一部抜粋・編集し、学歴や肩書にあまりこだわらないデンマークの考え方と、日本で当たり前になっている進路観の違いを紹介します。
デンマークの教育現場は「競争」ではなく「共創」
みなさんのお子さんの通う学校や、近所の学校では、テストのクラス順位や学年順位が出ますか?
デンマークでは、全国テストが年に一度あるかないかで、順位なども付きません。この全国テストは、あくまでも、それぞれの生徒の理解度を知ることで、個々の学習計画に役立てることと、国として、全国のフォルケスコーレ(注:デンマークの義務教育機関。日本の教育でいうと小中一貫校)の生徒の習熟度を見極め、国全体としての教育計画に反映させるためのものです。
子どもたちはクラスの仲間や同じ学年の仲間、時には学年の枠を超えて同じ学校の仲間たちとプロジェクトベースの学びも多い環境で育っていきます。そして、プロジェクトは、そのチーム全員の良さが発揮されているかどうかが、内容とともに評価されるしくみです。
ですから、多くの子どもたちにとって、クラスメートは仲間であり、共に学び合ったり、なにかに一緒に取り組んだりする、それぞれがおもしろい個性を持った「共創」の仲間なのです。ライバルという意味合いの「競争」相手ではありません。
その後、高校や大学に進学したり、就職したりする時にも、それぞれが、自分のやりたい学び、仕事を選択して、それぞれのタイミングで取り組みます。心理学を学びたい人、考古学を学びたい人、ビジネスを学びたい人、デザインを学びたい人、まさに人それぞれです。
そこには「良い学問」も「悪い学問」も、「良い学校」も「悪い学校」も、「良い仕事」も「悪い仕事」もないのです。ですから、ここにも誰かを蹴落としてでも自分がそのポジションに立つんだ、といったような「競争」はなく、クラスメートや同僚は「共創」のための仲間でありつづけます。
また、デンマークには、偏差値もなければ、日本によくあるような大学ランキングなどはありません。
専門性によって、学ぶ場所や形が様々であること。また、それぞれが、やりたいことを実現するための学びの場を選択することがその理由です。その学びは仕事に直結する、社会と密接した内容です。人それぞれ、やりたいことは違うので、何を選ぶかで人と比較する必要はないのです。
学歴や肩書はあなたが思っているほど重要ではない
仕事では、本当に様々な人と出会います。二十数年前は想像もしていなかった、王室や皇室の方々、大使館や省庁の方々、デンマークや日本の閣僚の方々、多種多様な企業や大学、自治体、NPOの方々、学生のみなさんや子どもたち。
私が学生の頃には、自分では入ることはできなかった、六大学や有名大学卒の人や、大企業、有名企業の方もたくさんいますし、そういった方々にお呼びいただいて、講演やワークショップをしたりもしています。
私の学歴はそれほど「輝かしい」「キラキラした」ものではないけれど、少なくとも私の人生においては、そんなことはほとんど関係がありませんでした。
むしろ大事なのは、自分の興味関心があることを諦めず、自分にとって良いタイミングで、楽しみながら学び続ける、ということだと感じています。
そしてもうひとつ、自分の人生を振り返って大切だと思うのは、小さな子どもだった時に好きだったことは、意外に自分の「好き」の本質をついているかもしれない、ということです。
近頃は、小学校の3年生とか4年生くらいになると、親やまわりの大人に忖度して好きなことを大人ウケしそうな方向に合わせる子もいるかもしれないけれど、幼稚園や小学校1~2年生の頃までは、まだそこまで大人に忖度することは覚えていないはずなので、自分の本当に興味があることで、ずっと忘れていたことに出会える可能性があるのではないかと思っています。



