「絶対に行かない学校」を受験する意味はある? 親を悩ませる“前受け”のコスパとリスク

前受け受験は本番慣れや合格による安心感、学力確認に役立つ一方、時間や費用、メンタル面の負担も伴います。子どもの性格や学力、家庭方針を踏まえ、メリットとリスクを整理し、納得できる選択をすることが大切です。(画像出典:PIXTA)

【前受け受験のメリット】本番慣れ・安心感・学力確認の3つの効果

1. 本番の入試に慣れることができる

本命校の前に実際の入試環境を体験することで、緊張を和らげ、当日のパフォーマンスを高める効果が期待できます。試験での時間配分や問題への対応力を養えるだけでなく、手続きや流れ、環境に慣れることができるのも利点といえるでしょう。

しっかり準備していたつもりでも、想定外のことが起こるのが受験です。毎年のように話を聞くのは、試験会場が暑くて頭が働かなかったというケースです。

親としては、風邪を引かないようにと子どもに厚着をさせるのですが、試験会場も暖房の温度を高くしていることが多いので、「ぼーっとして頭が働かなかった」というのはよくあるトラブルです

一度でも本番の経験を積んでおくことで、本命に向けてこうした想定外に対策することができるでしょう。

2. 合格による安心感を得られる

前受け校に合格しておくと、「どこにも行けない」という不安が減り、精神的に余裕が生まれます。本物の入試で合格をもらう経験は、大きな自信にもつながるでしょう。

前受け受験で確実に合格をキープしたいなら、学力面で無理のないレベルの学校を選ぶことが大切です。相談者の方のように子どもが失敗を引きずるタイプであれば、より手堅い学校を選ぶとよいですね。

一方で子どもの性格によっては、「一度不合格にならないと本気にならない」場合もあります。その時は、あえてチャレンジ校を前受け受験するという戦略もアリです。

3. 現時点での学力を確認し、本命校に向けて対策ができる

前項で紹介したように、12月の模試以降の勉強でどれくらい学力が伸びたのか、実際の入試でどの程度通用するかを確認できるのは大きなメリットです。補うべき弱点や今年の時事問題の傾向をつかみ、より的を射た対策をすることで本命校合格に大きく近づくことができるでしょう。

【前受け受験のデメリット】時間・費用・メンタルのリスクとは

1. 定常的な学習時間が減る

当日は移動と受験で物理的に時間を取られます。これにより、通常の学習時間が削られることになるため、本命校対策の計画を崩さないように工夫が必要です。

2. 受験にあたって、費用負担が発生する

目安として1校あたり3万円ほど受験料がかかります。遠方に赴く場合は、交通費や宿泊代もかかるため、家計への影響も考慮が必要です。

3. 感染リスクなど体調管理に注意が必要

電車移動や試験会場は人が多く集まる場所。冬場の受験は感染症リスクが高く、人との接触による体調不良の可能性が考えられます。体力も消耗するため、予防対策を徹底して無理のない日程を組むようにしましょう。

前受け受験するべき? 子どもの性格で変わる最適な選び方

「前受け受験をするべきかどうか」に決まった正解はありません。なぜなら、子どもの性格や学力、直前期の学習状況、そしてご家庭の方針によって最適な判断が変わるからです。

そのため、まずは次の2つを家族で共有しておくことが大切です。

・メリット(本番慣れ・安心感・学力確認)
・デメリットやリスク(時間・費用・体調・メンタル負荷)


そのうえで、「うちの子にとって最も良い選択はどちらか?」を一緒に考えてみてください。最終的に子ども自身が納得して選んだ道であれば、それが何より大きな力になります。前受けを経験することも、本命校に集中することも、中学受験を通して「自分で選び、乗り越えた」という確かな自信につながっていきます。

前受け校の過去問対策にはある程度の準備期間が必要なため、一般的には6年生の夏ごろまでに方向性を決めておくと安心です。とはいえ、今まさに迷っている時期でも、判断が遅すぎるということはありません。

これまでの学習状況や子どものメンタルを踏まえて、「今の自分に合った選択」ができるのは、この時期だからこそのメリットです。

前受けをするなら最低限の対策でも十分ですし、前受けをしない選択もまったく問題ありません。どちらを選んでも、本番までに力は伸ばせるため安心してご家族で話し合ってください。

成功へ導く賢者からの金言!

経験を力にできるのが、前受け受験のメリット!
懸念点と比較したうえで、子どもが納得する選択を。

経験を力にできるのが、前受け受験のメリット! 懸念点と比較したうえで、子どもが納得する選択を。
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※このお悩みは、『塾選』が中学受験予定の保護者50名を対象に行ったアンケート(2025年10月実施)に寄せられた回答から抜粋したものです。

この記事の執筆者:塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

この記事の監修者:受験指導専門家・西村 創 先生
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
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