“イケてる”CORTIS、“王道2.0”を提示したHearts2Hearts…2025年デビュー組に見る「K-POPの未来」

2025年も多くのK-POPグループがデビューしました。その中でも今、特に注目したい「CORTIS」と「Hearts2Hearts」の活躍から、“2025年以降のK-POP”をひも解きます。※写真:アフロ

M世代の韓国エンタメウオッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク
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#53では、2025年にデビューした新人K-POPアーティストの動きを振り返りながら、今、特に注目すべき存在に“FOCUS”します。デビュー直後から高い完成度を誇るグループが続々と登場した今年。中でも、今の若年層の“FaSHioN”を体現するCORTIS、そしてガールズK-POPの新たな王道=「王道2.0」を提示したHearts2Heartsに注目。異なるアプローチを取る2組から見えてくる、K-POPの未来とは? 後半では、2026年のデビュー予想も!

【前回の記事「『TOMORROW X TOGETHER』が“唯一無二のグループ”である理由」(#52)はこちら

2025年も多くのK-POPグループがデビュー

今年デビューの代表格の1つ、Hearts2Hearts ※写真:アフロ
今年デビューの代表格の1つ、Hearts2Hearts ※写真:アフロ
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):今年も多くのK-POPグループがデビューしました。今回は新人グループを軸に、2025年のK-POPを振り返ってみたいと思います。

編集担当・矢野(以下、矢野):今年デビューの代表格はHearts2Hearts、ALLDAY PROJECTにCORTIS。ルーキーというよりいきなりスター!みたいなグループが出てきましたよね。

ゆりこ:SMエンターテインメント(以下、SM)、JYPエンターテインメント、そしてYGエンターテインメント(以下、YG)の関係会社THE BLACK LABEL、STARSHIPエンターテインメント、さらに久しぶりにHYBEの本丸とも言えるBIGHIT MUSICからそれぞれ新人がデビューしました。これだけ出そろうのも珍しいです。
 
【2025年デビューした主なK-POPグループ】
1月:XLOV、KickFlip
2月:Hearts2Hearts、NouerA
3月:KiiiKiii
4月:CLOSE YOUR EYES、cosmosy
5月:POLARIX
6月:Baby DONT Cry、ALLDAY PROJECT
7月:AHOF
8月:idntt、AtHeart、CORTIS
9月:IDID

矢野:大手事務所のグループではありませんが、僕はidnttの曲が「これぞK-POP!」という感じで刺さりました。曲の構成にメリハリがあるというか、Aメロ、Bメロ、サビがはっきり分かりやすくてなじみやすかったです。
ゆりこ:tripleSが所属するMODHAUSからの新人グループですよね。私もidnttの曲は気付くと聞いていました。あとP NATIONのBaby DONT Cry、SM出身スタッフが作ったAtHeart。どちらも今後が楽しみなガールズグループです。そんな中で、矢野さんが一番気になったグループはありましたか?

CORTISが発信する“韓国発の洋楽”と“次世代のファッショントレンド”

矢野:僕はCORTISです。楽曲というより、最初は彼らのファッションに惹かれました。ニュージェネレーションならではの着こなしだなって。気付いたらInstagramを追うようになって、『GO!』という曲にもハマって。
ゆりこ:CORTISが出てきた瞬間、メンズファッションに疎い私でもおしゃれだなとは思ったんです。ただ、どこがどうすごいのかは言葉にできない(苦笑)。ファッションオタクの矢野さんに解説してもらいたいです。

矢野:Y2Kブームをきっかけに、以前はやったアイテムを今っぽく着る流れは今も続いています。そんな中でCORTISの取り入れ方って絶妙に上手なんです。一流メゾンのトレンドも、オーバーサイズから細身に戻りつつあるのですが、そういった流れもCORTISとスタイリストさんはしっかり押さえているように感じます。さらに古着の使い方も今っぽい。彼らはインタビューの中で「お金をたくさん持っているわけじゃないから、リユースの服をよく着ていた」と話していました。本人たちの生活感と世界観が自然につながっている。

ゆりこ:最近、こんな記事を見ました。最近物価高と円安で海外のハイブランドや上質な素材の服を買える人が限られていて、特に若い世代には手が届きにくい。だからファッションに興味がある若年層は、セカンドハンド(古着)の中から掘り出し物を探して買う人が増えているそうです。

矢野:僕自身もそうですが、周りの20代のファッション好きは古着に抵抗がない人も多いです。むしろリユースショップに入り浸って掘り出し物を探す時間が楽しい。そして先ほどファッションのトレンドが「徐々に細身に回帰し始めている」とお話ししましたよね。でも最先端のトレンドが市場に行き渡るまでには“タイムラグ”が生じます。そのため、街中で売られている新品の服にがっつり反映されるまでには、もう少し時間がかかりそうです。ただし、リユースショップには“それ”がある。CORTISはそういった絶妙なトレンド感も、きっちり取り入れてくるんですよ。お見事!って感じです。

ゆりこ:矢野さんの話を聞いて、私はまだCORTISというグループの魅力を味わいきれていないなと実感しましたし、その理由が分かった気がしました。つまり、私は彼らのターゲットから外れてしまっている。CORTISのコアターゲットは“感度の高い若年層”なんでしょうね。デビューEPを聞いても、万人に愛される王道アイドルを目指していないのは明瞭でした。その潔さがCORTISのカッコよさなのかもしれません。

矢野:僕もCORTISは従来のK-POPリスナー、アイドルファン層とは少し違うところにターゲットを置いている気がします。明確に若年層を狙っているのはSNSを見ていても感じます。例えばショート動画の使い方。単なるダンスチャレンジや曲のPRだけではなく、日常を切り取った様子や、面白おかしくおふざけしている様子もガンガン投稿しています。学校の友達同士で共有する映像のノリなんです。漫画でいうと4コマみたいな短い展開。でも決して素人っぽくはなくて、アングル、編集はセンスを感じるものばかり。本人たちのセルフプロデュース力のおかげでもあるでしょうし、感度の高い若いスタッフがついているのだろうと思います。

ゆりこ:CORTISは何もかもが「イケてる」んですよね。「イケてる」ってワード自体が平成を感じるけれど、それ以外の言葉が出てこなくてスマン……って気持ち。これを10代、20代はなんと表現するんだろう?

矢野:イケてると僕も思います。あとはシンプルに「おしゃれ」「やばい」とかですかね(ぼくも20代後半なのでズレているかもしれませんが)。音楽に関しても『NHK紅白歌合戦』では流れそうにない曲。語弊があるかもしれませんがK-POPというよりもはや……洋楽のような感じがします。

ゆりこ:そういった意見は出ていますよね。メンバーが楽曲制作に携わっていることと、彼らの存在感は十分アピールできた2025年だったと思うので、来年はどんな曲でカムバックするんだろうと気になります。もう少し曲数を聞いていくと、さらにCORTISの色がくっきり見えてくる気がします。

矢野:ところで、ゆりこさんが今年一番注目していた新人グループは誰でしたか?
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Hearts2Heartsが切り開く、ガールズK-POPの「王道2.0」
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