不合格からの一発逆転!「塾に行きたくない」と泣く息子と、母が掴んだ横浜市立南高附属中への合格

仕事と子育てに追われるシングルマザーとして忙しい日々を送る原田さんは、学習意欲に波のある息子に寄り添い続けました。悩みや葛藤を抱えつつも伴走をやめず、諦めない心を育みながら倍率4.17倍の難関校に合格。そんな親子の参考にしたい中学受験記。

最後まで諦めない力を育てた合格までの道のり。受験を終えて思うこと

横浜南の制服
逆転合格を経て、晴れて袖を通した、南高附属中学の学ラン
——小3冬から長期にわたる中学受験生活。お母様が勉強を見てあげることもあったのでしょうか。

塾に行き始めた小3の頃は主体的に勉強することに慣れていないので、一緒に塾の宿題を解くようにしていました。塾の先生からアドバイスをもらって、「こういう風にやればいいんだって」と自宅で解き方を教える感じです。

「何時までやる」と時間で決めるのではなく、「ここまでやろう」という区切りを意識しながら、同時に最低限のことは必ずやると決めていました。

自主的に取り組んでほしかったので、慣れてきてからは本人のペースで進めてもらいました。「ちゃんと勉強してる?」と声をかけたいけど、我慢することも多々あって。

勉強しているそばで私や妹が遊んでいるのは嫌だろうと、別の部屋で過ごすなど、邪魔をしないよう気を付けていましたね。

——勉強は自室ではなくリビングなどで?

勉強する場所は決めてなくて、リビングか、集中したいときは誰もいない私の寝室で勉強することも。家で集中できないときは、塾の自習室も活用しました。6年生の後半は自習室に行くことが多かったです。

「塾の自習室を使ってくれれば、様子を見ておきますよ」と先生が言ってくれたので、自習室は積極的に活用しました。褒められて伸びる子なので、「先生が褒めてくれるから頑張る」と励みになっていたと思います。

——塾からのアドバイスで、他にお母様の心に残っていることは?

「早く寝る」「勉強の時間が足りないときは、少しでいいから学校に行く前に勉強する」など、隙間時間を生かすことですね。短い時間でも効果があるんだと、発見でした。

——入試本番の日程の組み方や受験校も、塾の先生と相談して決めましたか?

本命以外の受験校を選ぶ時は相談に乗ってもらいましたが、日程を戦略的に組んだということはありません。しいて言えば、2月3日が横浜市立南高等学校附属中学校の試験日と決まっていたので、試験慣れするために受ける学校(佐久長聖中学校)を1月に受験したことくらい。

あとは、公立中高一貫校は倍率が高く、厳しい戦いになると言われていたので、その前に第二志望の鎌倉学園に合格できれば気持ちに余裕が持てるかな、とは思っていました。

——結果、高倍率を勝ち抜き合格したわけですが、本番当日のご様子はいかがでしたか。

息子は落ち着いていました。それまでに模試を毎日のように受けていたのでテスト慣れしていたのがよかったのだと思います。私の方はものすごく緊張していたので、その気持ちが息子に影響しないよう、いつも通りを心がけました。

——合格したときは、お母様も息子さんもほっとしたでしょうね。

実は最初は不合格だったんです。その後、繰り上げ合格になりました。一時は鎌倉学園に行く気になっていたのですが、数時間後に電話が鳴って「繰り上げ合格です」と。私も息子もかなりびっくりしましたが、本当にうれしかったです。

この難関を突破できたのは、息子も私も、できる限りのことを最後までやり続けたおかげだと思います。

——入学後は、イベントや部活動も盛んで息子さんも充実した中学生活を送られているそうですね。

横浜市立南高等学校附属中学校は真面目で穏やかな子が多くて、親としても安心できる環境です。おとなしい子が埋もれることがなく、生徒一人ひとりが活躍できるよう、学校がサポートしてくれています。

中高合同で行う文化祭や体育祭もすごい盛り上がりますし、イングリッシュキャンプのようなユニークな行事も開催されます。地元の公立中学ではかなわない経験をしている息子を見ると、中学受験をして本当に良かったなと思います。

——中学受験をとおして、息子さんが成長したなと感じることはありますか?

6年生のとき、授業の一環で手紙を書いてくれたんです。その中に「この数年、諦めないで頑張って良かった」という一文がありました。途中で投げ出さず、最後までやり遂げることの大切さを感じてくれていて、うれしかったです。

今も部活動が大変そうですが、困難を乗り越える楽しさを感じているみたいです。つらくても最後まで頑張る力を持てるようになったのは、中学受験を乗り越えたおかげだと思います。

取材後記

中学受験は、子どもだけでなく保護者にとってもチャレンジングなイベントです。今回の取材では、学習面の工夫に加え、生活リズムの調整や精神面でのサポートなど、親子のリアルな取り組みや感情について伺うことができました。

幼い頃から会話を大切に、フランクな親子関係を築いてきたという原田さん。その関係性があったからこそ、息子さんもお母様の言葉を信じて頑張れたのではないでしょうか。

何とか勉強するようにと、毅然とした姿勢でサポートすることに、本心では葛藤もあったといいます。中学受験を最後までやり遂げるには、子どもだけでなく、保護者にも強い気持ちが必要なのだと改めて感じる取材でした。
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この記事の取材・執筆者:塾選ジャーナル編集部
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