今後の展望と大学側のジレンマ
2006年の判決以降も、二重払いへの不満は高まる一方で、今回の文科省通知もあり、今後は「一部返還」の動きが広がらざるを得ないでしょう。しかし、これには大学側の懸念もあります。辞退のコスト(キャンセル料)が安くなれば、受験生は気軽に「とりあえずキープ」しやすくなり、辞退者が増える可能性があるからです。
特に人気のない大学ほど、事態は深刻です。辞退者の増加は「人気のなさ」を露呈するだけでなく、補欠合格を出すための連絡や事務手続きのコストもかさみます。
かといって、コストがかかるからと返還額を少なくすれば、他大学と見劣りしてさらなる人気低下を招きかねない——。「受験生の負担は減らしたいが、経営や手間の問題も大きい」というのが大学側の本音でしょう。
そうした懸念もあって、なかなか入学金返還に踏み切れない大学も多いのではないかと思われます。
受験生や保護者の負担を軽くする意味では、二重払いの問題は必ず改善すべきですが、一気に解決するのは難しい、悩ましい現状が続いています。 この記事の執筆者:前屋 毅 プロフィール
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。最新刊『学校が合わない子どもたち~それは本当に子ども自身や親の育て方の問題なのか』(青春新書)など著書多数。



