いち早く動いた大学の事例
そんな中、大阪府にある桃山学院大学がいち早く負担軽減策を発表しました。2026年度から、入学を辞退した場合、入学金(23万円)の約8割にあたる18万円を返金するというものです。その理由を同校に尋ねると、 「文科省の通知に従って実施を発表したわけではありません」と前置きしたうえで、「経済状況によって受験生が自由に受験できないというケースもありますので、何かできないかと本学としてもともと検討していました。その1つの結論が今回の返還です」との回答がありました。
全額返金ではありませんが、大学側もこの問題を気にかけ始めている1つの例といえるでしょう。
「返還義務なし」とする最高裁判決
なぜ多くの大学は返還しないのでしょうか。日本私立大学連盟の山下隆一事務局長は、「入学金は『入学できる地位(席)を確保するための対価』であり、最高裁判所も『返還する義務はない』という判決(2006年)を出しているから」と説明します。
当時、最高裁は「授業料」の返還は認めましたが、「入学金」については返さなくていいと判断しました。以来、辞退者への授業料請求はなくなりましたが、入学金の徴収だけは今も続いています。
大学側にも言い分があります。
「合格者を学生として受け入れるために事務手続きなどには費用が必要で、そこにも入学金が使われます。さらに入学辞退となった場合には、その手続きを修正するとともに、補欠合格者に連絡するなどの費用も必要になってきます。そういう費用を賄うためにも、入学辞退者にも入学金を支払ってもらう必要があります」(山下事務局長)
とはいえ、その負担費用が本当に入学金の全額に相当する額なのか、という議論は残ります。
「返還義務はない」とした最高裁も、実は無条件ではありません。「その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる事情のない限り」という“条件”をつけているのです。
先ほどの桃山学院大学の「2割徴収(5万円)・8割返還」という設定は、大学の実務負担分(5万円)を差し引いた、妥当なラインを示しているとも言えそうです。



