ロシアではクマがトラに食べられ、日本ではクマが人を襲う。研究者が2年かけてたどり着いた調査現場

「クマがトラの主食」という驚きの生態を調査するため、ツキノワグマ研究者がロシア極東へ。くくり罠禁止、2年の許可申請、検問、デコボコ道3日間の移動。「クマの本当の姿」に迫るため、研究者が直面した行政と大自然の壁とは?(画像出典:PIXTA)

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極寒の地へ続く3日間の命がけバス移動

調査開始までも時間がかかったが、日本から現地に行くのも時間がかかる。ウラジオストクまでは直行便がないため、当時は韓国経由でウラジオストクに飛んだ。朝6時の羽田発の飛行機に乗らないと間に合わないので前泊は必須である。

ウラジオストクに着いてからは約12時間バスに乗って数百kmの距離を行く。そのうちの3分の1は舗装されていないデコボコ道である。車に酔いやすい人にはおすすめしない。

いきなりバスが止まり、憲兵かFSB(ロシア連邦保安庁。旧KGB)と思しき制服姿のいかつく眼光鋭い男たちの一団がずかずかと乗り込んできて、まっすぐに私たちのもとにやってくる。恐ろしげな口調のロシア語で何かをまくしたてる。何をいっているのかは詳しくはわからないが、どうやら「パスポートを見せろ」と要求しているらしい。

いわれた通りにすれば彼らは降りていくのだが、なかにはパスポートを没収されそうになって、面倒なことになった人もいた。そういうことがかなりの頻度で起こる。おそらく、ロシアの田舎道を走るバスに、見慣れぬ外国人が乗っていることを怪しんで、地元の人が通報しているのだと思う。

そんなわけで、目指す自然保護区には、たどり着くのに3日もかかったのだった。往復するだけで6日かかるようなフィールドなので、日本の大学や研究機関などで仕事をしている私たちが長期滞在できるタイミングはあまりない。

そこで、研究者仲間で行く時期をずらし、1〜2週間ほどリレー形式で滞在することにしていた。私は大学の仕事が一段落する秋に10日ほど滞在することになった。
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ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記
ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記
この書籍の執筆者:小池伸介 プロフィール
ツキノワグマ研究者。東京農工大学大学院農学研究院教授。博士(農学)。専門は生態学。主な研究対象は、森林生態系における植物―動物間の生物間相互作用、ツキノワグマの生物学など。現在は、東京都奥多摩、栃木県、群馬県の足尾・日光山地においてツキノワグマの生態や森林での生き物同士の関係を研究している。1979年、名古屋市生まれ。著書に『ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら〜ツキノワグマ研究者ウンコ採集フン闘記』(辰巳出版)など。
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形といい巻きといい、今まで集めた3000個の中で一番見事なクマのウンコ
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