「定年後に孤立する人」の共通点はスマホ。和田秀樹が危惧する、50代からの“デジタル依存”の恐怖

「食事中もスマホが手放せない」50代は危険信号? 和田秀樹氏の書籍から、シニアを孤立させる「スマホ依存」の恐怖と、AIに脳を支配されないための「デジタルとの付き合い方」を解説します。(画像出典:PIXTA)

隣にいるのに、会話がない。「スマホ」が夫婦の距離を遠ざけていませんか?
隣にいるのに、会話がない。「スマホ」が夫婦の距離を遠ざけていませんか?(画像出典:PIXTA)
スマホやAIは生活を便利にする一方、シニア世代の「依存」は深刻な孤立や判断力の低下を招く恐れがあります。

「自分は大丈夫」と思っていても、気づけば人間関係が希薄になり、思考をAI任せにしてしまうケースは少なくありません。

本記事では、和田秀樹さんの著書『50歳からのチャンスを広げる 「自分軸」』(日東書院本社)から一部抜粋・編集し、テクノロジーに支配されず、賢く共生するための「50代からの向き合い方」を解説します。

「スマホ依存」はシニアこそ怖い

スマホの普及拡大に伴って、「スマホ依存」が深刻になっています。常にスマホをチェックしてしまう。寝ても起きてもスマホをいじってしまう。特に若い世代への影響が心配されがちですが、実はシニア世代も無縁ではありません。

みなさんの中にも「スマホ依存気味だけど老後になれば使わなくなるでしょ」と楽観視している人もいるかもしれませんが、加齢に伴いスマホを使わなくなるわけではありません。

実際、「友人からの連絡を待つ間、ずっとスマホを握りしめている」「食事中もスマホから目が離せない」。そんな同世代の光景を目にすることも珍しくないのではないでしょうか。

50代で「スマホ依存の傾向があるかも」と自覚が少しでもあるようでしたら、生活を見直してみましょう。

スマホ依存の怖さは、知らず知らずのうちに人との「つながり」が失われていくことです。便利な反面、使い方を誤ると脳の機能を低下させ、コミュニケーション能力を奪ってしまう危険性があります。

分かりやすいのがLINEです。LINEは安心感を得られやすいツールともいえるのですが、この安心感は危ういものです。少しでも返事が遅れたり、既読スルーされたりすると、たちまち揺らいでしまいます。常に他者とつながっている安心感を求めることが、かえって不安を生み出すのです。

意識的に「スマホなし」の時間を作る

スマホ依存を防ぐには、「なければ困る」から「あれば便利」へ意識を切り替えることが大切です。「歩く」「食べる」「飲む」「話す」「聞く」などの人間の日々の活動にスマホは本来必要ありません。

ですから、時には「スマホなしデー」を設けてみましょう。スマホを持たずに外出し、リアルな体験を取り戻す。意識的にスマホから離れ、家族との団欒(だんらん)を楽しんだり、友人と会って語り合ったりする。そうやってオフラインの時間を大切にすることが、スマホ依存への歯止めになるはずです。

スマホを全否定する必要はありません。スマホなしで生きるというのは現代社会においては自立から遠のく結果を生み出しかねません。適度に利用することが自力で生活をより豊かにすることにつながります。

​​利便性に感謝しつつ、決して振り回されることのない自立した生き方。そこに、人生100年時代を謳歌するヒントがあるはずです。
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スマホは「減らす」、でもAIは「使う」。50代が知っておくべき“おいしい”とこ取り術
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