地方のスーパーはここ数年、とても魅力的に変わってきています。小さい店だからこそ生まれるオリジナル商品、地元の食材にこだわったお弁当やお惣菜。どれもが地元の人はもちろん、来訪者にとっても新鮮で、しかも手頃に味わえる「ご当地の味」です。最近では、スーパーを目当てに旅に出る人も増えてきているのだとか。
今回は、スーパーマーケット研究家・菅原佳己さんお気に入りのスーパー、全92店舗を紹介している『日本ご当地スーパー大全』(辰巳出版)から、「地元愛があふれる」九州のご当地スーパーを3つご紹介します。
専門家が選んだ! 九州の「地元愛があふれる店」3選
長く地域住民に愛されてきたお店には、その土地ならではの「食」と「文化」が凝縮されています。名物のお惣菜や、地元産品を手に取れば、人々の温もりや日々の暮らしぶりが感じられるはず。旅の途中に立ち寄れば、地域の日常を深く知る、特別な体験となりますよ。1. エレナ 三和店(長崎)
ちゃんぽんめんやカステラなど名物が多く、長崎の魚介への認知度が低い旅行者を対象に、市は「さしみシティプロジェクト」を始動。エレナも協力企業です。この日、定置網にかかったフカ(サメ)を郷土食「フカの湯引き」に加工。店頭からすぐになくなる人気ぶりでした。
同店では地元・野母崎の魚を「野母ん魚」と呼び販売。「未利用魚」も消費する工夫を長崎大学の学生と取り組んでいます。
長崎県長崎市布巻町990-1
8時~21時(無休)
2. 春日浦フードスタジアム(大分)
その中で異彩を放つのが『春日浦フードスタジアム』。かつて県立春日浦野球場があった跡地に建てられているからです。
2007(平成19)年の開業当時の社長・渡辺正光さんは、高校野球や社会人軟式野球に打ち込んだ経験から、球場の歴史を残すことに尽力しました。店内には「春日浦ボールメモリー」と呼ぶ写真展示コーナーも設置。同社では今も昔も、軟式社会人野球チームが活動を続けています。
大分県大分市王子北町5-1
9 時30分~21時(年始を除き無休)
3. A-Z あくね(鹿児島)
店名は「AからZまで揃う」という意味で、食品から車まで約40万品目を扱います。食品スーパーとホームセンターが入るメインの建物は、奥行き100m×幅200mの超巨大サイズで、遠くが霞むほど。
失礼ですが、「ローカルな町で夜中に来る人が?」と思うが答えは「YES」。早朝は釣り客が餌を買い、夜は釣果のように魚をクーラーボックスへ詰め替える人の姿も。人生の機微をも映し出す、眠らない店です。
鹿児島県阿久根市赤瀬川2210
24時間(無休) この書籍の執筆者:菅原佳己
1965年生まれ。スーパーマーケット研究家。2012年に刊行した著書『日本全国ご当地スーパー 掘り出しの逸品』が大ヒットし一躍注目される。ご当地スーパーブームの火付け役として、テレビ、ラジオ、 新聞、雑誌ほかのメディア出演多数。2019 年に一般社団法人「全国ご当地スーパー協会」を設立、全国の埋もれた食文化を発掘しその魅力を伝えている。ほか著書に『日本ご当地おかず大全』(辰巳出版)などがある。



