「万博反対!」からわずか半年で「万博サイコー!」へ。日本人が“手の平返し”を繰り返す理由

閉幕を前に大盛り上がりを見せる大阪・関西万博。しかし、開幕前の反対ムードを思えば“手の平返し”ともいえるムードに、モヤつく人も少なくないかもしれない。この現象には日本人の国民性が深く関係している。詳しく解説していこう。(サムネイル画像出典:Shawn.ccf / Shutterstock.com)

大盛り上がりの「東京2020」も過去の出来事に

先ほど「東京2020」はなんやかんやと大盛り上がりをしたと述べたが、実はあれほど熱狂したにもかかわらず、その内容については見事に「忘れている」ことが分かっている。

覚えている人も多いだろうが、「東京2020」の開催に賛成・推進していた人々の1つの大きな理由が「スポーツ振興」だ。世界を相手に一流アスリートたちが最高のパフォーマンスを見せたら、子どもたちなどに夢を与えて、それらのスポーツも盛り上がるというのだ。しかし、2022年7月、NHKが「東京2020」に参加した競技団体に競技人口がどうなったのかアンケートを行ったのだが、結果は驚くべきものだった。

競技人口やすそ野の広がりについて尋ねたところ、「増加した」が21%だったのに対し、「変わらない」が56%、「減少した」が18%で、合わせて70%以上が、「東京2020」の成果を感じていないという回答だったのだ

あれほど、さまざまな競技に熱狂して「こんなに面白いとは知らなかった」なんて大騒ぎをしていたわりに、終わったら「あれ? 何にあんなに騒いでいたんだっけ?」という感じで、スコーンと記憶から消えてしまうのだ。

よく言えば「柔軟」。悪く言えば……

大阪万博反対も同じだ。テレビやネットでネガティブな情報があふれていた時は、多くの人は心の底から「万博なんて必要ない」「やっても行かない」と思っていた。しかし、そのブームが過ぎ去ったら「あれ? 何に腹を立てていたんだっけ?」となったのだ。そして、そこに「万博スゴイ」という新たなブームがやってきたというだけの話なのだ。

よく言えば、「柔軟」、悪く言えば「無節操」。ただ、これが厳しい自然災害の中でたくましくサバイブしてきた先人から受け継がれたものだと思えば、「しょうがない」と受け入れるしかないのかもしれない。
窪田 順生
この記事の執筆者: 窪田 順生
ノンフィクションライター
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。 ...続きを読む
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