ここがヘンだよ、ニッポン企業 第41回

なぜ「職場へのお土産」は禁止した方がいいのか。「親睦が深まる」よりも「しがらみ」 でチームの腐敗が進む?

近年では反対の声も目立つようになった、職場での「お土産文化」。そこには、ただ面倒という以上の、組織の腐敗へとつながる問題点が潜んでいる。公務員不祥事や、中国共産党の汚職問題を例として取り上げながら解説しよう。

「職場へのお土産」は禁止した方がいい?
「職場へのお土産」、反対の声も増加中?
長期休暇をとって、家族や大切な人と旅行する。忙しい現代人にとってリフレッシュができる大事な時間だが、旅行の終盤になると、多くの人が憂鬱(ゆううつ)になるイベントがある。それは「職場へのお土産」の用意だ。

「お土産文化」に対して反対の声も増加中

「えーと、まずうちの部署だけで8人でしょ、前の案件ではマーケにもかなり世話になったからあちらも5人……」「このお菓子が値段的にもピッタリだけど、最近他の人のお土産で甘いものが続いているからやめておくか」。こんな感じで、休暇中にもかかわらず、ひと足先に「仕事脳」に引き戻されてしまうという人も少なくないはず。

実際に、『女の転職type』を運営するキャリアデザインセンターが、働く女性640名を対象に「職場でおみやげを配る文化はある?」とアンケートをしたところ87.6%が「配る」と回答している

ただ、最近このようなカルチャーが苦痛でしょうがないというビジネスパーソンも増えている。なぜ仕事以外の大事な時間を割いて、そんなことに時間や労力を費やさなくてはいけないのか。「強制ではない」と言いながらも、なぜお土産を買っていかないと微妙な空気になるのか。そんな不満を口にする人もいて、「お土産ハラスメント」なる言葉も生まれている。

実際、先の調査でもこのような「職場のお土産文化」について「いいと思う」と回答した人が52.5%なのに対して、「よくないと思う」という人も30%にのぼっているのだ。

年商146億円企業では贈り物全てを禁止に

そのため「職場のお土産」をなくす会社も増えてきている。例えば、採用から定着まで企業の成長を支援するアールナインでは2年前から、帰省や旅行で職場にお土産は「不要」としている。

また、お笑い芸人だった森武司氏が設立した年商146億円の「FIDIA」でも、お土産、誕生日プレゼント、バレンタインやホワイトデーなどの贈り物を全て「禁止」している。

どこかに出張したら、「部のみんなにおみやげを買わなければ」という強制的な空気に苦しめられるのは無駄だ。どの範囲まで渡すのか、お返しは何にしようと悩むのも無駄だ。会社として禁止すれば、互いにラクな環境ができる。このルールは社員に好評だ。

『社内でおみやげを禁止すると起こる意外な変化とは?』ダイヤモンド・オンライン

このような話を聞くと、旅行や帰省するたびに「職場へのお土産」を配って回っているような人たちは「無駄とは何事だ! 互いにお土産を渡し、渡されることで親睦も深まって仕事もうまくいくじゃないか」と頭がクラクラしてくるかもしれない。
 
しかし、残念ながら、そういう“ウェットな人間関係”で仕事を成功させようという発想自体が、会社組織に属する者としてはかなり問題だ。
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お土産文化が組織の腐敗へとつながる?
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