「婚活」は、就活と同様に自分の市場価値を冷静に分析し、その魅力を相手に伝えることができないとマッチングしません。本気で結婚したいなら、ありのままの自分を愛してくれる人をぼんやり待っているだけではダメ。結婚観は人生観そのものなのです。
コロナ禍もあり、私たちの働き方や価値観は大きく変化しました。それは婚活についても例外ではありません。変わりゆく令和の「婚活」最新事情について、婚活アドバイザーの植草美幸が徹底分析するシリーズ「婚活女子の市場価値」。第1回は、いま婚活市場で「稼げる女性が最強」と言われる理由についてご紹介します。
賃金が上がらない日本…コロナ禍が追い打ち、収入格差広がり
記録的な円安がニュースになる昨今、コロナ禍以降ひさしぶりの海外旅行で物価高に驚いたという声も耳にします。最近では、世界各地のマクドナルドで販売されるビッグマック1個の価格を比較することで経済力が分かる「ビッグマック指数」もたびたび話題になりますね。日本は貧しくなった? というマインドが広がりつつありますが、それもそのはず、日本では20年以上も賃金が上がっていないのです。
「OECD(経済協力開発機構)」のデータによれば、1990年代には加盟国上位に位置していた日本も今ではOECD平均を下回るレベルになっていることが分かります。
>日本人は想像以上に稼げていない
2020年以降のコロナ禍で、減給や残業手当の廃止なども取り沙汰され、一流企業ですら安心とはいえず、転職を余儀なくされる人にも多く出会いました。一方で、IT系や外資系、コンサル業界などの一部では男女問わず高年収を維持している人も多く、若い女性でも年収1000万円超え、20代で年収数千万円という人も。男女ともに年収の格差が広がっていると感じます。
マッチング事例 | 1200万女性×400万男性の年収「逆転」カップル
例えば、外資系企業で正社員として働くユキさん(仮名・35歳)のケースでは、最終的に年収400万円の年下男性ハヤトさん(仮名・31歳)と成婚に至りました。
相談所に入会してきた当初、ユキさんは自分と同等の年収かそれ以上の男性を希望していました。結婚しても仕事を続けたい、その一方で、専業主婦の母親に育てられた彼女は両親のような温かい家庭を築きたいという理想も描いていたようです。
婚活を続けるうちに、自分と同等の年収を稼ぐ男性は、働き方も自分と同様にハードワークであることに気づきます。このままでは結局、夫婦そろって仕事中心の生活で家庭がおろそかになるのでは? と考えるようになりました。
そこで自分が一家の大黒柱になり、相手の年収にはこだわらない婚活にシフト。筆者の印象では年収2000万円の候補男性とも相性はよさそうでしたが、「家の中に男は2人いらない」ときっぱり。年収が低くても家庭的な男性がいい、という彼女の希望で急浮上してきたのがハヤトさんでした。ちなみに、ハヤトさんは一般的に見てイケメン(笑)。年収は自分の3分の1でもイケメンだからOKという分かりやすい条件で、あっという間に決心されたようです。
高年収の女性は「嫌だ」から「ありがたい」へシフトした男性
結婚を機に寿退社をするのが一般的だった昭和の時代、共働き夫婦が少しずつ増えてきた平成の時代を経て、令和になると結婚後も女性が働き続けることが当たり前になりました。
平成までは、結婚後も仕事を続ける場合、家事や育児も女性が“やらなければならない”という考え方がまだ多かった印象です。それが令和になり、さらにコロナ禍の不況に後押しされる形で、経済力に自信が持てない男性たちの価値観が変化。ほんの少し前までは、「自分より年収が高い女性は嫌だ」「プライドを傷つけられる」「自分の稼ぎが少ないから家庭を持つ自信がない」という理由で結婚に至らない男性が多くいましたが、「妻が自分より稼いでも恥ずかしくない、むしろありがたい」という考えにシフトすることで、マッチングするケースが増えました。パワーカップルもたくさん生まれています。
稼ぐ女性はプライベートでもしっかりしていることが多く、デートの日程や場所の調整などで頼りがいがあります。一方で、リードするのが苦手な男性にとっては頑張らなくてもいい安心感があり、実は互いに好相性。こうした「女性軸」で動く婚活が増え、男女逆転の現象が起きています。
働く女性をめぐる意識変化を受けて、上述したユキさんのように女性の年収が男性の年収の何倍もある逆転カップルも誕生するようになりました。4~5年前までは数年に1回あるかないか程度の珍しいケースでしたが、令和以降たびたび見かけるようになりました。
お見合いの段階で、女性から男性に対して「結婚後、家事はどれくらいできそうですか?」「1週間に何回、夕食を作りますか?」と質問するケースも増えました。「稼げる女性」と「家庭的な男性」の市場価値は、引き続き高め安定が続きそうな予感がしています。
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