お金をかけなくても賢い子が育つ! 子どもの移り気を「最強の学習力」に変える方法

子どもの興味がコロコロ変わることに悩んでいませんか? 実はその「移り気」こそが、探究心を育てる絶好のチャンスです。高額な教材を使わずに、子どもの学ぶ力を引き出す方法を紹介します。(画像出典:PIXTA)

「移り気」こそが子どもの学びを深める最大のチャンス
「すぐ飽きる子」ほど賢く育つ? お金をかけずに探究心を育む方法(画像出典:PIXTA)
「うちの子、この前まで恐竜に夢中だったのに、もう飽きちゃって」「せっかく買った図鑑セット、全然見なくなっちゃった」。子育て中の親なら、誰もが一度は経験するこんな悩み。高額な教材や習い事への投資が、子どもの気まぐれで無駄になってしまうことに、もどかしさを感じていませんか?

しかし、家庭教育コンサルタントの岩田かおりさんは、この「移り気」こそが子どもの学びを深める最大のチャンスだと言います。

今回は、岩田さんの最新刊『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』から、子どもの「ブーム」を学びに変える方法と、探究心を育む「リフレクション(振り返り)」の実践法について紹介します。高額な教材に頼らなくても、親子の対話を通じて子どもの学ぶ力を引き出せるメソッドです。

子どもの「ブーム」にお金をかけすぎない

探究学習を進める上で、多くの親が陥りがちな落とし穴があります。

それは、お金をかけすぎることです。

子どもの没頭する力は強いですが、冷めるときはびっくりするほどあっさり興味を失います。虫が好きと言っていたのに、いつの間にか電車が好きだと言い出したり、「このアニメが好き!」と言ってグッズをたくさんそろえていたのに、突然他のものに興味が移ったり。

親としては、「この買い集めたおもちゃは、どうするのよ……」と途方にくれて、もったいない気持ちから「もうちょっと遊びなよ」と言いたくもなりますよね。

子どもの移りゆく興味関心を応援することは簡単なことではありません。

ブームが去ったら、去るもの追わず。集めたグッズなどは、誰かに譲ったりメルカリで売ったりして、親は切り替えていきましょう。

だからこそ、お金をかけすぎないのがコツなのです。

子どもの興味はすぐに移り変わるという特徴を生かして、風向きが変わったタイミングを見逃さずに「チャンス! 今そこに興味があるならば、この学びを差し込もう」と考えてみるのがおすすめです。

たとえば、仮面ライダーがとても好きな子は昭和ライダー・平成ライダー・令和ライダーを自然と比較しながら研究することもあるでしょう。

そんなときは、「好きな仮面ライダーランキングをつくってみたら?」と提案したり、「仮面ライダーディケイドの『ディケイド』ってどういう意味?」と聞いてみたりします。(ちなみに、ディケイドは10年間という意味で、仮面ライダーディケイドは平成仮面ライダーシリーズ10周年記念のシリーズとしてつくられたそうです)

そして、仮面ライダーが好きな時期が過ぎ去ったら、次に興味のあるものを題材にして学びを深めていけばいいのです。

そうやって、子どもの関心に引き寄せて対話をすることで、子どもは「調べてみよう」「もっと知りたい」と思います。

ブームが去ったものはさっさと諦めて、今、このときの子どもの関心を生かす仕掛けを考えることにシフトしましょう。

探究心を育む「リフレクション」という魔法

では、子どもの興味を次々と学びに変えていくには、どうすればよいのでしょうか。

私は、探究をすすめるうえで重要なのは次の4つだと考えています。

1. リフレクション(振り返り)を習慣にする
2. 「天才ノート」をつくる
3. プレゼンテーションの機会をつくる
4. フィールドワークに出かける


今回は、この中でも特に重要な「リフレクション」について詳しくご紹介します。

「リフレクション」とは、出来事や物事を「なぜだろう?」と掘り下げていくことです。失敗したことも、うまくいったことも、振り返ることで次なる一歩へつなげていくことができます。

そして、その振り返りこそが、探究の入口に誘うことになるのです。

ここでは、子どもとの会話を通してリフレクションを促す例を説明していきます。

「いつもは仲のいいAちゃんに傷つくことを言われて、ケンカした」という話を子どもから聞かされたとき、どんなふうに声をかけるでしょうか?

リフレクションを導く姿勢で応えると、「なぜAちゃんはそんなことを言ったのだろう?」といった問いを子どもに投げかけることになります。すると、子どもは自分の目線でしか考えていなかった出来事に対して、Aちゃんの立場からも考えるようになります。

何らかの人間関係のトラブルが起きた場合、どちらか一方だけが100%悪いということはあり得ません。双方に責任があるものです。だから、子どもは親の問いかけからケンカについて振り返り、「昨日、私がAちゃんにこんなことを言ったからかもしれない」といった仮の原因を見つけ出せるようになります。

子ども一人で多面的に物事をとらえるのは難しいので、親は出来事を整理するサポート役としてリフレクションへ導いてください。

このとき、親はあくまで支援者なので、子どもに同調してAちゃんの悪口を言うことはしません。子どもに共感しながらも、中立的な立場で思考を促していくことがポイントです。

また、子どもの代わりに答えを出さないように注意してください。答えを見つけるのは、あくまで子ども自身。

子ども一人では、「Aちゃんなんて大嫌い」だけで終わってしまう可能性があることを、親が冷静に振り返る質問を挟んでいくことで、「じつは相手だけが悪いわけではない」「自分がこうすればよかったのかも」「次、同じようなことがあったらこうしよう」と、さまざまなことに気づけるようになっていきます。

このようなトラブル事案だけではなく、物事が成功したケースでもリフレクションは大切です。

子どもが英検に受かった場合、「合格のポイントは、なんだったと思う?」と質問をします。

すると子どもは、「前回の試験ではリスニングが弱かったから、リスニング対策をしたら今度は本当に受かった!」といった振り返りができます。

さらに、「今度はライティングを強化できるとよさそう」と次につながる対策に思考をめぐらせることにもつながるでしょう。
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リフレクション後も戦略的にほったらかし
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