【プロに聞く】勉強嫌いな子に「楽しい!」と思わせる3つのコツ。自ら学ぶ子はどう育つ?

「勉強習慣を付けたいと思いながらもなかなかうまくいかない」「子どもにガミガミ言い過ぎて、疲れてしまっている」そんな保護者あるあるのお悩みを、家庭教育コンサルタントの岩田かおりさんに投げ掛けた。(画像出典:PIXTA)

子どもが困ってから相談者になる

子どもの勉強にどの程度付き合っていくべきか悩む保護者も少なくないだろう。岩田さんはこうした相談に対して、「勉強習慣を付ける3つ目のポイントとして、『子どもが困ってからサポートする』ことを大事にしてください。子どもが『やりたい』『教えて』と言い出す前に、困らないようにとどんどん教え込むことはやめましょう」と言う。

子どもが求める前に先回りして教え込んでいくと、「即効性を期待するようになる」と岩田さんは語る。

「『教えたんだから、次は間違わないで』といった言葉につながることもあります。そうなると、子どもは失敗が怖くなり、勉強から気持ちが遠のいてしまうのです」(岩田さん)

また、「僕にはもう無理だ」「また間違えちゃった。私は勉強ができないんだ……」と自分の自信を失うことにつながるという。

「年齢×1分」の勉強習慣を付ける「天才ノート」

ドリルや書き取り学習もいいが、岩田さんがお勧めするのは探究心を育てる「天才ノート」の活用だ。「天才ノート」に打ち込むのは、「年齢×1分」。どんなに慌ただしい日々でも、これならば続けやすい。

ここでいう「天才」とは、アーティストになったり五輪選手になったりするような、他者と比べて特別に秀でた才能を持っていることを指すわけではない。

岩田さんは、「全ての子どもは、なんらかの才能を持って生まれてきています。『ずっと走っていても疲れない』『食べ物への執着がすごい』など、さまざまなその子の特徴があるでしょう。これこそが才能です」と言う。こうした興味関心や得意を生かしていく教育アプローチが、「天才ノート」だ。

「天才ノート」で用意するのは、この2つだけ。

1. 方眼ノート(コクヨA4サイズ推奨)
2. 赤ペン


「天才ノート」を実践する際のポイントは3つある。

1つ目は、子どもの関心や好きなテーマで取り組んでいくこと。テーマは、お菓子、ゲーム、歴史、昆虫、洋服、妖怪など、どんなものでも大丈夫。

2つ目は好きなテーマから親が問題(今日のテーマ)を設定すること。「欲しいドラえもんの道具とその理由は?」や「日本で1番長い駅名はなんでしょう? ちなみに自分で作ってもOK!」など、どんな質問でもいい。親の投げ掛けによって、子どもの関心を広げたり深めたりしていく。

3つ目は、子どもが問題を解いたら、「よくできたね!」と承認して花丸をすること。「ママもこの道具ほしいなぁ」や「よくこんな駅名、知っているね!」と大きく花丸をして、いいところを探して褒める。

「子どもは好きなことであれば1人でどんどん進めていけることを、親は改めて実感するはずです。また、子どもは自分の『好き』を軸にしながら、駅名を書くために漢字を覚えたり、恐竜が全長何メートルかを調べる中で単位に触れたりすることにもつながります。つまり、子ども自身の関心からスタートし、結果的にはいわゆる従来の勉強にたどり着きます」(岩田さん)

漢字も計算も、子どもたちの関心を深めるツールに過ぎない。「子どもがやる気を出せるようにサポートすることこそ、親の役割の本丸です」と岩田さんは続ける。

探究心を育みながら、勉強習慣の定着にもつながっていく方法として、数分間の「天才ノート」の実践を生活に取り入れてみてはいかがだろうか。
自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育
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岩田かおりさん プロフィール
家庭教育コンサルタント/株式会社ママプロジェクトJapan代表/全国ワーキングマザーの会副代表。幼児教室勤務を経て、「子どもを勉強好きに育てたい!」の思いから、独自の教育法を開発。ガミガミ言わず勉強好きで知的な子どもを育てる作戦『かおりメソッド』を全国へ展開中。3人(1男2女)のママ。最新刊『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

この記事の執筆者:佐藤 智 プロフィール
横浜国立大学大学院教育学研究科修了。出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、学校情報を収集しながら教育情報誌の制作を行う。その後、独立。全国約1000人の教師に話を聞いた経験をもとに、現在、学校現場の事情をわかりやすく伝える教育ライターとして活動中。最新刊は『渋幕だけが知っている「勉強しなさい!」と言わなくても自分から学ぶ子どもになる3つの秘密』(飛鳥新社)。
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