ORANGE RANGE、ガンダム……平成・昭和を懐かしむ「ノスタルジアマーケティング」の大流行が示唆するヤバい未来

人々の「懐かしさ」を刺激する「ノスタルジアマーケティング」が大流行している。一時的にはよい策ともいえる方法だが、同時に未来への絶望を示唆しているともいえるかもしれない。(サムネイル画像出典:「ORANGE RANGE」)

未来への絶望が止まらない日本の若者

その兆しが分かる調査がある。日本財団が中国、インド、英国、米国、韓国、日本の6カ国でそれぞれ1000人の18歳を対象に行っている意識調査だ。2024年4月に公表された第62回調査で、日本の18歳は他国と比べると、ダントツに未来に「絶望」しており、他国に比べて経済の競争力がないと考えていることが明らかになったのだ。

自分の国の将来について、日本は「よくなる」が15.3%と、他の国に差をつけて6カ国中で最下位となった。また、自国の現在の競争力について「他国と比較して高い」と回答した割合を見ると、「経済・GDP」と回答したのは43.6%にとどまり、これもやはり6カ国中で最下位だった。

希望があるのは「過去」だけ?

そこで想像してもらいたい。このような若者たちが社会人になると日本経済はどうなるか。未来に絶望して経済成長も期待していないということは、自分で働いて給料を得るようになってもあまり消費はしない可能性が高い。「貯蓄」や「節約」という生活防衛に走るので、GDPの7割を内需に依存する日本経済はどんどん冷え込んでいくということだ。そこで、財布のひもがかたい若者よりももっとカネを使いそうなアダルトな世代を狙おう、となり、「昭和レトロ」や「エモい平成」というノスタルジアマーケティングが活況しているというわけである。

「うわっ、懐かしい」とハートをつかまれた40〜50代は若者より収入も高く、消費意欲も高い。そして何よりも「人口」が多いのでヒットにつながる可能性が高い。つまり、ノスタルジアマーケティングがここまで大盛況しているというのは裏を返せば、今の日本で希望があるのは「過去」だけということでもあるのだ。「昭和レトロ」や「エモい平成」ではしゃぐのも楽しいが、そろそろ「厳しい令和の現実」を直視しなければいけない時期かもしれない。
最初から読む

この記事の筆者:窪田 順生
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    映画『8番出口』を見る前に知ってほしい8つのこと。二宮和也が「無個性」を演じる説得力とは

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    スウォッチ「つり目」広告は他人事? スイス在住の日本人「細目のスマイリーを描かれたことも」

  • 世界を知れば日本が見える

    【解説】参政党躍進に“ロシア系bot”疑惑、証拠なく“自民党の情報操作”との見方も

  • AIに負けない子の育て方

    「学校に行きたくない」その一言に隠された、子どもからの本当のSOSとは【不登校専門家が解説】