相談2. 娘が、ズボンに手を入れうつ伏せになり、自慰行為のようなことをしている姿を見てしまいました。
回答:「一般的」です。このくらいの年頃の子どもというのは、自分のからだに興味津々なものです。お昼寝の時間に、園児たちが自分のプライベートパーツを探索している姿は、わたしも何度も目にしています。
ここで、わたしも頼りにしている性教育に関する包括的な情報を提供するサイト「性教育レスキュー(Sex Ed Rescue)」を運営するキャシー・ハンカソンさんからいただいたメールの一部を紹介したいと思います。子どもの自慰という難しいテーマについて、子どもを持つ親に向けて優しく、わかりやすく説明してくれています。
それ自体は気持ちのよいこと、「一般的」なことなのですから、本人に恥じさせる必要はありません。しかし、そのまま放っておいていいかと言えば、そうとも言えません。それとなく適切な方向へ誘導してあげてください。たとえば、こんな感じです。(子どもたちは、)特定のやり方で自分の性器(またはからだ)にふれると、気持ちのよさが湧き上がってくるということを知っています。そして、その気持ちのよさは、その子が眠りにつくのを助けてくれることもあれば、気分をリラックスさせてくれることも、退屈な気分をまぎらわせてくれることもあります。
こうした自慰は、大人の自慰とは異なるものです。(中略)大人の自慰は、性的快感を得ること自体を目的としておこなわれるのが一般的です。(中略)これに対して、子どもにとっての自慰の目的は、性的快感を「得る」ことよりも、特定のやり方で自分の性器にふれると気持ちがよくなるということを「発見」することにあります。
親:ちょっと気がついちゃったんだけど、さっきソファにいたとき、ズボンに手を入れてたかな?
子ども:ごめんなさい。
親:ううん、謝らなくていいんだよ。別に悪いことしてないからね。自分のからだは自分のものだもの。でもね、プライベートパーツっていうのは、特別大事なところでしょ? だからね、自分のプライベートパーツを見たり触ったりするときは、プライバシーが守られるところでしてほしいの。
子ども:プライバシーが守られるところって、どういうところ?
親:それはね、お家の中で、一人でいられる場所ってこと。プライバシーが守られるところ、どこか思いつく?
子ども:自分の部屋とか?
親:あたり! 自分のお部屋は、プライバシーが守られる、プライベートな場所だね。
「一般的」を知って異変センサーを高めよう
3人の子の母親としても実感がありますが、子どもの行動は千差万別で、「一般的」の範囲がとても広いものです。ですから、「この行動=性被害を受けている兆候」と、公式のように覚えておくというわけにはいきません。しかし、「一般的」の基準を持っておけば、異変に気づくセンサーは格段に磨かれるはずです。
お子さんに、普段とは違う変わった行動が見られたときは、本人と周囲から話を聞き、専門の窓口に助けを求めてください。 キンバリー・キング(Kimberly King) プロフィール
ウィーロック大学(現ボストン大学ウィーロックカレッジ)大学院教育学修士(M.S.Ed.)。自身が性被害にあったことをきっかけに、メイン大学在学中から、サンドラ・キャロン博士のアシスタントとして性被害防止活動にかかわる。幼稚園教諭として働きつつ、非営利組織「ダークネス・トゥ・ライト(Darkness to Light)」の認定ファシリテーターを務め、児童性被害予防教育の専門家として活動している。近著に『子どもを守る新常識 性被害 セーフティガイド』(東洋館出版社)がある。



