「ボーナス支給の勢いで転職」は危険? 転職のプロの意見とは

転職やキャリアに関する悩みや疑問に、ひとつ上を目指す人の転職サイト『type』編集長の三ツ橋りさが回答します。今回は「ボーナス支給後の転職」について。

ボーナスも出たし、20代のうちにそろそろ転職しようかな
ボーナスも出たし、そろそろ転職しようと思っています。何から始めればいい?
転職やキャリアに関する悩みや疑問に、ひとつ上を目指す人の転職サイト『type』編集長の三ツ橋りさが回答します。今回は「ボーナス支給後の転職」について。
 

(質問)
ボーナスも出たし、20代のうちにそろそろ転職しようかなと思います。まず何から始めればいいでしょうか。

 

(回答)
ボーナスが支給されたタイミングは、転職を考えやすい時期かもしれません。しかし、衝動的に転職をすると失敗しやすいもの。なぜ転職をしたいのか、今の環境のままではだめなのか、一度よく考えてみることをおすすめします。


詳しくは以下で解説します。

ボーナスが支給された勢いで、転職を考えていませんか?

「ボーナスもらったら転職しよう」と考えたことのある方は多いのではないでしょうか。

確かに、金銭的な余裕が生まれたり、評価への不満を感じたりするボーナスは、今後のキャリアを見つめ直すきっかけになります。しかし、なんとなく転職活動をするのではなく、「なぜ今転職したいのか」を深く掘り下げて、その理由を明確にすることが大切です。

ボーナスを支給された勢いや、今の状況が嫌だからという理由だけで転職を急ぐのではなく、少し立ち止まって考えてみるといいかもしれません。

転職したい理由を深掘りしてみましょう

まずは、今の職場で抱えている不満の特定から始めましょう。「何にストレスを感じるのか」「どんな状況を改善したいのか」を具体的に書き出すことで、転職をしたいと思った本当の理由が見えてくるはず。

不満を書き出したら、次に考えるべきは「今の職場で解決できないか」ということです。業務内容に不満があるなら部署異動の可能性はないか。人間関係に悩んでいるなら、上司や同僚と話し合うことで改善の見込みはないかなど、自ら行動することで状況が変わる可能性を検討してみましょう。

もし、今の職場で解決策が見つからない、あるいは努力しても改善が難しいと判断した場合は、本格的に転職を検討するフェーズへ進みましょう。

転職したい理由を1人で考えていると、思考が堂々巡りになってしまうこともあります。そういう場合は、信頼できる友人や家族に話を聞いてもらったり、キャリアアドバイザーに相談したりするなど、誰かと会話をしてみるのもおすすめです。最近では、AIツールを活用して思考を整理する方法もありますよ。

転職活動の準備を進めつつ自身の可能性を探る

「なぜ転職したいのか」が見えてきて、それでもやはり転職が最善と感じたら、具体的な準備に入っていきましょう。

STEP1 自分の市場価値を把握する

転職サイトで求人を閲覧し、自身の経験で応募できる職種や年収帯などを確認します。転職市場の雰囲気をつかみ、自身の市場価値を把握しましょう。

並行してこれまでの経験やスキルを振り返り、キャリアの棚卸しを行います。次の仕事に生かせる自身の強みや、これまでの経験を振り返るいい機会になるでしょう。

このタイミングで応募書類の作成も進めていきます。職務経歴書や履歴書は、転職サイトにまとめられている記載例や書き方を参考に、作成を進めていきましょう。それでも不安な場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談したり、生成AIを活用したりする方法もあります。

STEP2 転職活動のスケジュールを作成し、応募を進める

転職活動の全体像を理解し、おおよそのスケジュール感を把握します。転職活動は一般的に、3カ月程度かかります。ゴールを決めて転職活動をすることで、だらだらと続けることなく、スピード感をもって進めることができるでしょう。

応募段階に入ったら、複数の企業へ並行して応募を行います。選考結果が出るまで待って1社ずつ応募していては想定以上に時間がかかってしまうことがあります。面接に慣れ、企業を比較検討するためにも、スピード感をもって進めることが大切です。

転職サイトtypeの場合は、理想の転職を実現するために、15社程度の応募をおすすめしています。一般的な内定率はおよそ20%(※キャリアデザインセンター調べ)なので、15社へ応募することで、およそ3社から内定をもらえる計算です。内定をもらった企業同士で比較するためにも、一定の期間を決めて応募しましょう。

STEP3 内定が出るまでは焦らず慎重に

現在働いている職場へは、転職先から内定が出た後に退職の意向を伝えるのが一般的です。内定をもらう前に転職を伝えてしまうと、引き止めにあったり、不当な扱いを受ける可能性もあります。内定が出るまでは、焦らず慎重に転職活動を進めるようにしましょう。

転職に焦りは禁物

ボーナスを支給されたタイミングは、転職だけではなく、自身のキャリアを振り返るいいきっかけです。ただ、その場の勢いで転職するのではなく、長期的な視点を持って納得のいく未来を検討していきましょう。転職が唯一の解決策ではない可能性もあるので、視野を広く持ち、自身のキャリアについて考えてみてくださいね。
 

この記事の筆者:三ツ橋 りさ
2006年4月、株式会社キャリアデザインセンターに入社。転職情報誌『Womantype』の編集を経て、転職サイト『女の転職@type(現・女の転職type)』のUI/UX改善やサイトリニューアルなどに従事。2013年4月~2015年12月まで『女の転職@type(現・女の転職type)』の編集長に就任。産育休を経て2016年11月より転職サイト『@type(現・type)』の編集長として復職。2019年10月より2度目の産育休を取得し、2021年5月に復職。2021年6月から『type』編集長に就任し現在に至る。

 
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