面接は提出書類の確認の場に過ぎない
そもそも、総合型選抜や公募制ではなぜ面接をするのでしょうか。それは志望理由書などの書類の内容の確認のためです。
総合型選抜や公募制では志望理由書、活動実績書、課題レポート、自己推薦書といった書類を提出します。本書ではこれらをすべて志望理由書と呼びます。
名前の通り、「なぜこの大学に入りたいか」という志望理由を書いて出します。この志望理由の確認をするのが面接です。
分かりやすい例として、受験の外の話をします。
『amazonのすごい会議』(佐藤将之・東洋経済新報社)という本の中で効率的な会議について書かれています。従来、社員が会議で企画を提案する場合、幹部の前でパワーポイントなどの視覚的な資料を示しながら説明をしました。
しかし、それだと時間がかかるので、amazonの会議では、まず企画書を提出させます。それを幹部は事前に読みこんで、会議では、分からなかったことを確認していきます。
例を考えてみました。
「アジアで販売を展開していくってあるけど、具体的にどの国?」
「すでに同じような商品が他社から販売されているけれど、どう違いを出していくの?」
理想的なパターンは何も質問をされないことです。ちゃんと資料で説明され、すべてが伝わっていれば幹部は質問をすることがないからです。そういう場合、企画が通る割合は高まります。
志望理由を訊かれなかった生徒が合格したわけ
総合型選抜や公募制の面接もこれとまったく同じ構造です。ある学生は総合型選抜の2次試験、集団で面接を受けました。
「ほかの受験生は志望理由書について質問されたのに、私は『どうしてうちの大学を志望したの?』としか訊かれなくてすぐに終わってしまいました」
彼女は「私の志望理由書はつまらなかったんだ」と思って、しょんぼりして帰宅しましたが、合格でした。
この彼女の志望理由書を見せてもらいましたが、非常によく書けており、完璧なできばえでした。面接官の教授からすると志望理由書に関しては何も訊くことはなかったのです。 杉浦 由美子 プロフィール
受験ジャーナリスト ノンフィクションライター2005年に朝日新聞社でライター活動を始める。月刊誌や週刊誌で記事を書き、『女子校力』(PHP新書)のヒットをきっかけに教育関係を中心に取材と執筆をするようになる。現在は数多くのWEBニュースサイトで連載をし、週刊誌や月刊誌にも寄稿している。最新刊に『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)。



