ネット上の出来事は大人が気付きにくい
「ネット上のいじめは、大人が気付きにくいものが多い」と舟生さん。「複数の友達と遊ぶ際に、移動手段を尋ねるつもりで『何で来るの?』と連絡したら、相手は『なんであなたが私たちの遊び場に来るの?』と誤読したケースもあります。文字のみのやりとりは情報量が減るため、齟齬(そご)が生じやすい。注意が必要です」
このほか、中高生になると闇バイトなどの犯罪行為に関わってしまうこともあります。
「応募者全員にプレゼントをうたう懸賞サイトやダイレクトメールに返信し、個人情報が流出することもあります。保護者は、ニュースなどでネットトラブルの犯罪が取り上げられた際、親子で話し合う機会を設けるといいでしょう。
『簡単にお金が稼げる話なんて、あり得ない』『こんなのに手を出したら危ないよ』と伝えるだけでも子どもの危機感を刺激できるはずです」
ネットトラブルを回避する方法
ネットトラブルに合わないためには、「スマホを初めて渡すときに、まずネットリテラシーについて話し合うことが大切」と舟生さんは言います。「子どもが幼ければ、SNSのグループに保護者も一緒に入ったり、投稿する前に保護者が文面を確認したりする方法もいいでしょう。ネットリテラシーを少しずつ育てていくことができます」
フィルタリングやペアレンタルコントロールを利用して、子どものスマホ自体に制限をかける方法もあります。
オンラインゲームは保護者も積極的に興味を持って、一緒に楽しむ方法がいいそう。そのうち、『ゲーム内でこんな人たちとグループを組んでいる』とネット上の交友関係が把握できるようになるかもしれません。
「オンラインゲームなどでは、子どもが無自覚に課金するトラブルも増えています。誕生日プレゼントにオンライン決済でゲームを購入した際、クレジットカードの履歴を残さないように保護者は気を付けましょう」
知らず知らずのうちに巻き込まれてしまうネットトラブル。IT機器が苦手な保護者は、携帯ショップで尋ねるなどして、積極的に情報を得ることを心がけましょう。
舟生 岳夫さん プロフィール
セコム株式会社 IS研究所 リスクインテリジェンスグループ チーフ研究員。キッズデザイン協議会理事、防災設備士。各種防犯セミナーの講師をはじめ、学校や施設のセキュリティポリシー策定コンサルティングなどを実施。セコム「子どもの安全ブログ」のモデレーターとして、子どもの安全に関する情報を発信し続けている。
この記事の執筆者:結井 ゆき江
フリーランスの編集者・ライター。中学受験雑誌の編集者として勤務した後に独立。小学校で発達障害グレーゾーンの児童をサポートした経験から、教育分野を中心にライターとして活動する。



