
なぜ彼らは読書時間を生み出せるのでしょうか。『AI分析でわかったトップ5%社員の読書術』(越川慎司 著)より一部抜粋し、「トップ5%社員たちの読書の実態」を見ていきましょう。今回は「5%社員の読書の傾向」と「忙しい中でも読書の時間を捻出できる理由」を紹介します。
トップ5%社員の63%は年に35冊以上読む
激しい変化の時代には、常に進化し続けることが求められます。そのためには、新しい知識やアイデアを取り入れる必要があり、読書はその有用な手段の一つです。しかし、忙しい毎日の中で読書時間を確保することは、多くの人にとって課題になっています。各企業で成果を出し続けるトップ5%社員962名を調べると、年に平均で43.2冊の読書をし、うち63%は35冊以上読んでいました。一方、一般のビジネスパーソンは年間の平均が2.4冊でしたので、5%社員がいかに多読であるかがわかります。
さらに5%社員の調査を進めると、読書の傾向が2パターンあることがわかりました。
まず、毎月コンスタントに読書を継続しているパターン。特定の時期に読書量が増えるのではなく、毎月4~5冊を読んでいる平均型パターンです。
もう一つは、休みに多読をするパターン。夏休みや年末年始休暇がある8月と12月、1月に読書量が増える人々です。ただ、このパターンの人も毎月1~2冊は読んでいる人が多く、日常的に読書習慣を身につけていました。
もちろん、読書量だけがすべてを決定づけるわけではありませんが、できる社員は読書量が多いと言えるでしょう。
たくさん読書をするからといって仕事の評価が上がるわけではありませんが、特筆すべきは、多忙の中でも読書の時間を生み出す力があることです。
多忙の中で読書時間を生み出せるわけ
成果を出し続ける人には、仕事が集まってきます。上司や後輩から相談を受けることもあるでしょう。時間の余裕が決して多くはないのに、読書を習慣にできたのには理由があります。それはズバリ、「何かをやめた」からです。誰しも1日は24時間。突出した成果を出したからといって時間がもらえるわけではありません。同じ24時間の中で読書を習慣にできたということは、他の人よりも「何かをしない」選択をしているのです。
たとえば、テレビやSNSに費やす時間を減らして、読書の時間にあてる。就寝前のスマホをいじる時間を10分減らして本を読む。通勤時間にはゲームやSNSの代わりに読書をする。休日の午後には、買い物に行く代わりに図書館に立ち寄ってみる。そんな小さな変化の積み重ねが、やがて大きな習慣の変化につながっていきます。
もちろん、読書の習慣を身につけるためには、工夫も必要です。5%社員は、日々の工夫を重ねて自分なりの読書術を獲得したとも言えるでしょう。
毎日1時間の読書をするのが難しければ、5分だけ読書してみる。週に1冊読むのが難しければ、まずは月に1冊を目指してみる。大切なのは、自分なりのリズムを見つけ、それを楽しみながら続けることです。
5%社員は判断基準がはっきりしています。
日常は「何をやるか、何をやらないか」の判断の繰り返しですが、彼らは「やらないこと」を決めることが得意なのです。
「何かをやめる」勇気を持つこと。それが、あなたが読書習慣を手にする第一歩です。

越川慎司 プロフィール
株式会社クロスリバー代表 / 元マイクロソフト役員 / 800社17万人の働き方改革を支援 / 年間300件のオンライン講演・講座を提供 受講者満足度96% / 著書は『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー)シリーズ全5作など31冊。NewsPicksなどメディア出演多数。