なぜフランスでは店員の接客が「塩対応」なのか。日本の「お客さま優先文化」とは異なる対等な関係性

海外のレストランやスーパーでは、日本に比べて店員の接客が淡白なことがよくあります。フランス在住の筆者も多くの「塩対応」を経験しましたが、今回はどうしてそうなるのか、理由や背景を現地からお届けします!

店員に対して「あいさつ」で礼儀を示す

「お客さまをお待たせして申し訳ない」という気持ちがほとんどないフランス。つい日本と比べて、「もう少し融通が利けばいいのに」と感じた経験も、これまでに何度かありました。しかし、そんな塩対応が当たり前のフランス人からすれば、日本の丁寧な接客に感動するのは当然のことかもしれません。

筆者自身も、フランスのさっぱりとした接客に慣れてしまったせいか、たまに優しく対応されると逆に驚いてしまいます。ただ1つ、どんな場面でも共通していると感じるのは、「こちらから笑顔でボンジュールとあいさつする」こと。これが、冷たい対応をぐっと減らすコツかもしれません。

先に述べたように、欧米諸国は「あいさつ」にかなり厳しいです。フランスも同じで、「いらっしゃいませ」の代わりに必ず「ボンジュール」とあいさつをします。ですので「私はここに来ましたよ」という意味を込めて、こちらから先に言葉を発することで、店員に対して礼儀正しく、良い印象を与えることができます。

日本とは少し様子が異なりますが、あいさつをしない人は無礼とみなされるのがフランスの文化。筆者の周りでも、このあいさつをきっかけに店員と打ち解けて会話を交わす場面が、何度か見られました。

もちろん、全てのフランス人店員が冷たいわけではありません。新しくオープンしたパリの店舗では、フレンドリーな対応で人気を集めている場所もあります。どこの国でも、心のこもったサービスを受けたときに「また来たいな」と思う気持ちは、やはり共通なのだと実感しています。

この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
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