まずは日本だ。7月までに、参議院議員選挙が行われる。2024年10月に石破茂政権が誕生したばかりだが、1月24日からは通常国会が開催され、その後には参院選が控え、ひょっとすると衆議院議員総選挙も同時に行われるのではないかとの憶測も出ている。現在、少数与党として劣勢にある自民党の石破首相らが、与野党の主要政党による「大連立」の可能性にまで言及しており、そうなれば日本の政治は一変する可能性もある。
近年まれに見る“大きな変化”の可能性
世界でも、近年なかったような“大きな変化”が起きる可能性が高い。というのも、アメリカで1月20日に第二次ドナルド・トランプ政権が発足するからだ。2017年から2021年までの第一次トランプ政権でも世界を驚かすような予想外の動きが見られたこともあり、第二次政権も世界で台風の目になると予想される。そしてその行方を世界中が戦々恐々として注目している。そこで今回は、2025年の世界情勢について、何が起きそうなのか分かりやすくひも解いてみたい。
就任後、本当に戦争は「24時間」で終わるのか
まずトランプ氏の公約を見ていこう。最初はウクライナ紛争だ。トランプ氏はこれまで、2022年から続いているロシアとウクライナの紛争を「24時間で終わらせる」と主張してきた。トランプ氏は元々、ウラジーミル・プーチン大統領とは直接対話をしてきた関係性があり、一方で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも第一次政権時からやりとりをしてきた。とは言っても、トランプ氏は当時ゼレンスキー氏を「脅迫」していた。トランプ氏は、当時の選挙戦でライバルだったジョー・バイデン大統領が、息子のハンター氏と一緒にウクライナで汚職をしていた可能性があると主張して、ゼレンスキー氏に国内で捜査するよう要求した。さもないとアメリカからの軍事支援を中止すると脅していたのである。
トランプ氏は今回の選挙戦でも、ウクライナへの軍事支援をちらつかせてゼレンスキー氏に停戦の譲歩を迫ると見られている。ゼレンスキー氏も、アメリカからの支援なくしてロシアとは戦えないので、アメリカの「停戦要求」には従う可能性が高い。同時に、トランプ氏はプーチン氏にも停戦するよう持ちかけると予想されている。
そしてその陰では、トランプ氏と信頼関係を築きつつあるイタリアのジョルジャ・メローニ首相が鍵を握る可能性がある。メローニ氏は以前、「ウクライナ支援疲れ」を吐露したこともあり、本音では停戦を進めたいはずだ。
ウクライナ紛争には4万人以上とも言われる死傷者が出ているが、もし停戦となると、少なくとも死傷者は激減するだろう。もし継続的な停戦が実現できたらそれだけでも多くの人を救うことになり、トランプ氏再登場のポジティブな効果が出ると言えなくもない。
イスラエルとパレスチナ、中東の今後は
さらに現在続いている世界的にメジャーな紛争といえば、イスラエルとパレスチナの問題である。イスラエルは、2023年に同国に対して大規模テロを実行したイスラム組織ハマスの幹部を次々と殺害して一掃したが、テロの際にハマス側がイスラエルから誘拐していった多くの人質はまだ解放されていない。その交渉も、トランプ政権発足後には進む可能性がある。トランプ氏が、生き残った数少ないハマス幹部らの拠点であるカタールやトルコといった国にプレッシャーをかけることで、イスラエルが有利になるような交渉が行われるはずだ。テロ後のイスラエルによる報復攻撃で、パレスチナ自治区ガザでは4万人以上が巻き添えで殺害されているが、この紛争もトランプ氏が仲介することで停止する可能性が高い。そうなれば、ガザ住民の7割を占める女性と子どもたちが、これ以上、報復によって巻き添えで死亡することはなくなるだろう。
また中東では、2023年に独裁政権だったアサド政権が崩壊したシリアや、イスラエルと交戦状態にあるイランの動向にも注目だが、それらもトランプ政権が鍵を握っている。シリアに安定した親米政権が生まれるか、またイスラエルが2025年内に爆撃など行う可能性が高いイランの動きについても注視されている。