
「All About」ガイドで、企業の製品開発のお手伝いやPR支援なども行うコヤマタカヒロが解説します。
(今回の質問)
炊飯器の内釜がまだ熱いうちに水で洗っても大丈夫でしょうか? 釜の加工に悪影響はありますか?
(回答)
内釜が熱いうちの急激な温度変化は、コーティングの剥離や変形の原因となります。少し冷めてから洗うのが安全です。
コーティングの剥離や変形の原因に
炊飯器の内釜は、アルミニウムや銅、ステンレス合金などの金属に、フッ素やセラミックなどの特殊なコーティングが施してあります。これらのコーティングには、米をくっつきにくくしたり、熱を均一に伝えたり、蓄熱性や吸水性を高めたりと、重要な役割があります。内釜がまだ熱いうちに水で洗うと、これらのコーティングに影響が出る可能性があるのです。ごはんを炊いた直後の高温の内釜に冷たい水をかけると、急激な温度変化が発生します。温度変化によって金属が収縮すると、表面のコーティングとの収縮率の違いによってストレスが生じ、微細なヒビ割れや剥離が起こる可能性も。一回でコーティングが剥がれることはありませんが、ダメージが蓄積されてしまう場合もあります。
また、コーティングが剥がれるだけでなく、内釜本体が熱衝撃で微妙に歪んでしまう可能性も否定できません。内釜が歪むと炊飯ムラの原因となるだけでなく、最悪の場合にはふたが正しく閉まらなくなってしまうことも。炊飯器の内釜は「熱」に強い構造な一方で、急激な「熱変化」には耐えられない場合がある、といえるでしょう。
内釜は自然冷却させてから洗いましょう
内釜を洗うときは、炊飯器から取り出し、室温で15~20分程度放置して自然冷却させるようにしましょう。人肌程度の温度まで下がったら、洗ってOK。中性洗剤を使い、柔らかいスポンジとぬるま湯で優しく洗います。注意したいのが、たわしや金属製のスポンジを使わないこと。コーティングに傷をつけてしまうためです。また、炊飯器の内釜にスプーンやフォークなど、金属製のカトラリーや調理用具も傷の原因になるので、入れないように気を付けてください。
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この記事の筆者:コヤマ タカヒロ
1973年生まれ。家電とデジタルガジェットをメインに雑誌やWebなど様々な媒体で執筆するライター。執筆以外に監修やコンサルティングなども行っており、企業の製品開発、人材教育、PR戦略に関するアドバイザーなども務める。米・食味鑑定士の資格を所有。家電のテストと撮影のための家電スタジオ「コヤマキッチン」を用意。
1973年生まれ。家電とデジタルガジェットをメインに雑誌やWebなど様々な媒体で執筆するライター。執筆以外に監修やコンサルティングなども行っており、企業の製品開発、人材教育、PR戦略に関するアドバイザーなども務める。米・食味鑑定士の資格を所有。家電のテストと撮影のための家電スタジオ「コヤマキッチン」を用意。