その理由は12月15日(日本時間16日)に、アメリカ・フロリダ州にあるドナルド・トランプ次期大統領の自宅である「マー・ア・ラゴ」で、トランプ氏の妻・メラニア夫人と面会したことだ。
「首をかしげてる国民は多いと思いますよ」発言も話題に
すると日本では、この昭恵氏の行動に対して、是非の議論が吹き荒れることに。テレビ番組に出演したタレントが「まだ石破さんに会っていない状況で、外務省だったりに言わないで行くっていうのはどうなのかな? って首をかしげてる国民は多いと思いますよ」と発言してSNS上でも大きな話題になっていた。もっとも、ここまで議論になるのは、日本国民が日米関係をかなり気にしていることの表れだろう。そこで今回は、政権発足前からドタバタしている石破茂政権の対米関係について、2025年1月20日にトランプ政権が発足したあとで日米関係がどうなってしまうのか考察してみたい。
メラニア夫人の投稿から「面会」が発覚
まず昭恵氏の面会については、その経緯も内容も、当初は日本政府、外務省、メディアまでもが詳細を把握できないままだった。結局、事後に当事者たちから情報が漏れてきたことで内容が徐々に明らかになった。まずメラニア夫人が、昭恵氏、トランプ氏と一緒に撮影した写真をX(旧Twitter)に掲載。 その後には、トランプ氏自身が記者会見でこの面会に言及した。そのやりとりは以下だ。石破氏は昭恵氏の面会前から、トランプ氏側と会談をしたいと、日本政府や外務省を通して要請したが断られた経緯がある。にもかかわらず、昭恵氏がこともなげに夕食会を実現したことで、政府筋が面白くないのも理解できる。記者:昨日、安倍首相夫人と会談されましたが、日本の石破首相はすぐにでも会談したいと言っています。
トランプ:会うよ。実は彼に記念品を送った。首相に本を送った。安倍夫人はファーストレディのメラニアととても親しかった。メラニアが書いた本を気に入り、電話をかけてきて、夕食できるかどうかたずねて......。私は安倍晋三首相ととても親しかった。彼は素晴らしい人物だった。彼の奥さんが夕食を共にできないかと言ってきた。晋三に敬意を表してのことだ。そして、ええ、首相に会いたいし、そうしましょう。実は安倍夫人を通じて、彼に本やほかのものを送った。
記者:就任式までに実現する可能性は?
トランプ:ありえる。日本の首相という立場の人なら重要視しているから。もし彼らがそうしたいなら、そうする。
昭恵氏はなぜトランプ氏と面会したのか、面会できたのか
帰国後の昭恵氏のX投稿によると、「できれば一言お礼とお祝いを言うためにお会いしたいとお願いしたところ、夕食会にお招きいただきました」という。 さらに、都内で講演を行った昭恵氏は、トランプ氏との面会について「いい夕食会だった」と触れるにとどまったが、最後に「私が動くことで、日本のことをよく思ってくれるのであれば、外務大臣などが行かれない地域に、主人が残してくれた足跡をたどって、行けたらいいなと思う」と語った。ただ筆者は、この発言が今回の顛末(てんまつ)の全てを物語っていると思う。昭恵氏には何も悪気はなく、「純粋に日本のために何ができるのか」という思いがあったらしい。少なくとも、日本の政界に影響を行使したいとか、自民党内における安倍晋三元首相の対抗勢力だった石破首相に恥をかかせたいとか、リベンジしてやろうなどといった思惑はなかっただろう。
トランプ氏は、自身にとっても親しかった安倍氏暗殺の報を受け、事件当時から哀悼のコメントを送っており、今回昭恵氏とフロリダ州で会うまでも、何度か昭恵氏を気遣って個人的に連絡を取ることもあったという。
そんなトランプ氏は今回、さすがに日本政府に対しても気を遣って、先に触れた会見での発言にあるように石破首相へ本(トランプ氏の写真集)を送り、そこに「PEACE(平和)」とのメッセージを添えていた。