2023年大会から3人抜け、5人増員
現在、M-1の審査委員長は空席ですが、それに近い立場とされてきた松本人志さん(ダウンタウン)が芸能活動を休止中。今年の審査員はどうなるのか、松本さんが復帰しないとすれば「松っちゃんの代わり」は誰になるのかと注目が集まっていましたが、まさかの増員による「9人審査制」になりました。
昨年から続投となったのは、海原ともこさん(海原やすよ ともこ)、博多大吉さん(博多華丸・大吉)、塙宣之さん(ナイツ)、礼二さん(中川家)の4人。
不参加となったのは、松本さんのほか、富澤たけしさん(サンドウィッチマン)、山田邦子さんを含む3人です。
そして今大会から新たに参加となったのは、石田明さん(NON STYLE)、2004年優勝の柴田英嗣さん(アンタッチャブル)、哲夫さん(笑い飯)、山内健司さん(かまいたち)、若林正恭さん(オードリー)の5人。
2017年から続いてきた7人審査制を7年ぶりに変更する大刷新になりました。
本来は10人審査制だった!? 異例だった2015年大会
M-1グランプリの過去19大会の歴史の中で、最も多いのは7人審査制です。9人で審査するなんて前代未聞のこと……と思いきや、実は過去に1度だけ実施されました。それは、9年前の2015年大会です。2010年で一度終了していたM-1グランプリでしたが、2015年大会で5年ぶりに復活しました。その間に審査委員長の島田紳助さんが引退していたこともあり、審査員を刷新。2010年までの歴代王者が1人ずつ参加し、計9人で行うという異例の審査方法が採用されました。
この際、唯一の欠席となったのが2004年王者のアンタッチャブル。「大会側から打診したものの、スケジュールの都合で辞退した」と発表されています。つまり、スケジュールさえ合っていれば10人審査制だったということ。ものまね王座決定戦みたいですね……!
歴代王者による審査を勝ち抜き、優勝したのはトレンディエンジェルでした。初のノーシードから、しかもサンドウィッチマン以来となる敗者復活枠からの優勝と、劇的な新王者誕生になりました。
実はミルクボーイじゃない? 真の「M-1史上最高得点」とは
なお、2015年大会の最高得点はジャルジャルの834点。これは大会全体としても最高得点です。2019年大会でミルクボーイが681点を獲得した際、司会の上戸彩さんが「M-1史上最高得点」と紹介したことで「最高得点=ミルクボーイ」が定着しましたが、正しくは「M-1史上最高平均点(97.29点)」だったんです。もちろん、どちらにしろ高得点であることに変わりありませんが……!
ちなみに歴代2位は、1000点満点だった2001年大会(第1回)で中川家が優勝した際の829点。1000点満点で829点は少なく感じるかもしれませんが、平均得点は719点なので100点以上高いんです。
というのも、当時のM-1グランプリでは「100点満点で50点」といった、今では考えられないシビアな点数がバンバン付けられていました。
また審査員7人の点に加えて、大阪・福岡・札幌の劇場で見ているお客さん300人が1人1点で審査する方式でしたが、知名度の低いコンビは「札幌会場の合計点=9点」といった極端な得点も発生。
そんな過酷な審査方法において、史上最高得点に5点だけ足りない歴代2位、しかも出番はトップバッターだったわけですから、初代王者・中川家の得点はまさに伝説と言えるでしょう。
9人審査制になった2024年大会では、史上最高得点が更新されるのかも注目です。そして、半数以上が刷新された審査員たちの点数付けはどうなるのか。2001年ほどではないにしろ平均点低めになるのか、あるいは近年の賞レースの傾向である平均点高めになるのか……!
「M-1グランプリ2024」の決勝は12月22日の18時30分からテレビ朝日で生放送。敗者復活戦も同日の15時から生中継されます。お見逃しなく!
この記事の筆者:石川 カズキ
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル「コントするイシカワくん」シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など。お仕事があればお気軽にご連絡ください。AIから仕事を奪うのが目標です。