フランス人はなぜスカートを履かないのか。ミニスカートにピンヒールは「娼婦」に見られてしまう?

女性のスカートは季節を問わずに楽しめる、ファッションアイテムの1つです。しかしヨーロッパ、特にフランスでは、スカートに対する認識が日本と少し異なるかもしれません。フランス在住者の視点からその「本音」に迫ってみましょう。

ミニスカートは、「ピュート(娼婦)」の印象が強い

夏のパリで
夏のパリ。スカートを履く人は増えるが……
そうした背景も相まってか、フランス人は「ミニスカート」に「ピンヒール」といった極端な装いには、「ピュート(娼婦)」という印象を抱くそうです。ばっちりメイクにブランド物のバッグを合わせるなんてもってのほか。もしファッションにミニスカートを取り入れたい場合には、足元をスニーカーや武骨なブーツにするなど、やり過ぎない工夫が必要です。

一方で夏のバカンスや恋人とのディナーなど、特別なシーンではミニ丈の服装を楽しむことがあります。その場合はミニスカートよりも「ミニドレス」が一般的。誰かと一緒にいることが前提ではあるものの、フランス女性にとってのミニ丈は、総じて「ソワレ(夜のお出かけ)のために」というイメージです。

60代以降の女性は「ファッションの自由度」が高い

しかし、そんな考えを一切持たない世代が存在します。それは60代以降のマダムたち。日本では若ければ若いほど「ファッションの自由」が許される傾向にありますが、フランスではむしろ逆です。マダムたちのファッションに対する自由度は、日本よりもはるかに高いといえるでしょう。

夏に腕を出したりデコルテを強調したり、ミニスカートを楽しんだり……と、フレンチマダムの「自由」へのパッションは、若い女性と比べものにならないほど。元々、人の目を気にしないフランス人でも、年齢を重ねることでさらに「縛り」や「世間の目」から解放されるそうです。当然、バカンス先ではビキニ姿も大披露! これに対して周囲が「イタイ」「年相応の格好をして」と指摘することもありません。

ファッション観は世代によってさまざま

パリ、ノートルダム大聖堂前で
若い世代は意外と保守的な一面も
年齢に縛られずコーディネートを楽しむフランスのマダムと、シンプルで快適さを求める若い世代では、ファッションに対する考え方も異なります。とはいえ「年齢を重ねるほど自由度が増す」という、日本とは真逆のフランスの価値観に驚いた人も多いのではないでしょうか。

ミニスカートの自由は、確かにTPOに左右されます。しかし「年齢を理由にファッションを諦めない」という姿勢は、筆者が魅力を感じるフランスの価値観の1つです。

この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
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