上町駅は、個人経営カフェがひしめく「休日を満喫できる街」だった。世田谷ボロ市は12月15〜16日開催

東急世田谷線の上町(かみまち)駅は同線の世田谷駅と並び、世田谷区を代表する恒例イベント「世田谷ボロ市」会場の最寄駅。そのボロ市以外には何があるのか、行って調べてみました!

「世田谷ボロ市」は毎年1月15〜16日と12月15〜16日の年2回開催される、世田谷区きっての人気イベント。会場となるボロ市通りの最寄駅は2つあり、うち1つの上町駅は通りの西側へアクセスしやすい位置にあります。

上町駅は、毎年ボロ市へ向かう際に利用するけど、それ以外の用事で行くことはほとんどない……という人も多いかもしれません。しかし、実は上町駅周辺は、ボロ市以外にも注目スポットがたくさん! 個人経営のゆったりくつろげるカフェがあちこちに点在しているほか、大きな史跡や博物館もあるなど、ちょっとした休日のお散歩にはうってつけの場所なのです。

上町駅の基本情報:家賃相場はいくら?

上町の写真
上町駅(筆者撮影、以下同)
上町駅の家賃相場は駅徒歩10分以内、築年数10年以内でワンルームが約8.8万円、1LDKで約14.2万円、2LDKは約18.4万円となっています(SUUMO、2024年12月2日確認)。世田谷線内で渋谷側の三軒茶屋駅や西太子堂駅周辺と比べれば1万円前後安く、逆側の下高井戸駅周辺よりは数千円お高めと、線内では中間くらいの相場です。

上町駅の開業は1925年。「上町」という名前は、かつて世田谷区内にあった「世田谷城」の城下町で、この近辺が上宿(上町)と呼ばれていたことに由来するそうです。

「ボロ市」会場となる通りは、代官屋敷&博物館も見どころ

上町の写真
上町駅の入口はボックス型
上町駅はホームこそ路面電車らしい簡素な造りですが、駅舎の方はシャープな四角型でなかなかに立派。上り線と下り線でホームがやや離れているので、「目的駅を乗り過ごしてしまったので戻りたい!」という場合に、上町駅でUターンしようとすると少し大変かもしれません。
上町の写真
平日お昼の人通りは控えめ
上町駅の駅前南側は「上町銀座会」という、ちょっとした商店街になっています。
上町の写真
「Ozeki」の看板が実にご立派!
上町駅と世田谷通りを挟んで反対側にあるのは、安い青果類の品ぞろえで有名なスーパー「オオゼキ」。ほかの街にあるオオゼキと比べても店舗規模はかなり大きく、食品類のバラエティーが非常に豊か! 日用品や消耗品もある程度取り扱っているので、上町で暮らすとなるとここを頻繁に使うことになりそうです。
上町の写真
スーパーやドラッグストア以外でまとめ買いしたいときは、近隣の街へ行ったほうが吉
このほか駅周辺には「ココカラファイン」や「どらっぐ ぱぱす」などのドラッグストア以外に量販店はなく、主に世田谷通り沿いに個人商店や飲食店が並んでいます。
上町の写真
こちらも人影はまばらでのんびりした雰囲気
駅から南方向に少し進めば「ボロ市通り」の西端です。ここは世田谷通りより道幅も狭く、住宅と交互に年季の入った商店が並んでおり、雰囲気が何とものんびりしています。ここが「ボロ市」開催時には周辺からも人々が訪れて満員御礼になるので、驚きです。
上町の写真
表門から直接は屋敷内に入れず、左に行ったところに出入り口があります
ボロ市通りの中心にあるのは「世田谷代官屋敷」の表門。ここは江戸時代中期に彦根藩世田谷領20カ村の代官を世襲した大場家の屋敷で、それゆえ「大場代官屋敷」とも呼ばれています。現在大名領の代官屋敷としては都内唯一だそうです。
上町の写真
取材時点では主屋が保存修理中で入れず、庭園の一部も封鎖されていました(2024年11月末に完了)
敷地内は往時の繁栄ぶりを感じさせる立派な「主屋」を中心に、これもまた立派に整えられた和風庭園がぐるりと囲む構造。時代劇などでもおなじみ(最近は時代劇ドラマも減りましたが……)の「お代官様」のお宅訪問を散歩ついでに訪問できるなんて貴重ですね!
上町の写真
取材時にはここを出入りする小学生らの姿も
敷地内には世田谷区の歴史や文化についての収蔵資料を展示する「世田谷区立郷土資料館」も併設。開館したのは、昭和の東京五輪開催年と同じ1964年で、都内で初めての公立地域博物館だったそうです。入り口前にそそり立つ大きなクスノキが何とも見事!

駅北側にも歴史散策&アートスポットが盛りだくさん

上町駅周辺の散策スポットは南口だけではありません。いったん駅前に戻り、今度は北側へ行ってみましょう。
上町の写真
区内をぐねぐね通る緑道のほぼ中間
駅前から北方向へ伸びる城山通りをしばらく進んでいくと、差しかかるのが「烏山川(からすやまがわ)緑道」。世田谷区内を細く曲がりくねりながら総延長7kmにわたって走っており、この緑道に沿って世田谷区内でも歴史の深い史跡や寺社仏閣が点在しています。
上町の写真
現在では木々に覆われ、かつて「お城」だったと示すのはほぼ看板のみ
その1つが、緑道と城山通りの交差点からさらに少し進んだ場所の「世田谷区立世田谷城阯公園」。公園面積はコンパクトながら、史跡としてはチェックポイントが数多くある場所です。
上町の写真
コンパクトゆえに迷いにくく、公園隅には遊具もあるので、子ども連れで歩くのもよさそう
園内の「世田谷城阯」は、清和源氏・足利氏の一族だった吉良(きら)氏の居城跡であり、1366年前後に築城されたと言われておりますが(※正確な時期は不明)、現在は一部の土塁と空堀が残るのみです。
上町の写真
こうした石積みにも深い歴史が
園内と城阯は歩きやすく整備されており、小山のような高低差もあるので、歴史トリップしながら少し体を動かしたいときに行くと楽しめそうです。街歩き番組『ブラタモリ』(NHK)でも、タモリさんほか御一行がここを紹介していました。なお、公園の裏手は世田谷区内でもとりわけ有名な「豪徳寺」の敷地となっています。
上町の写真
外観はほぼ一軒家。庭先の彫像が存在感を放っています
史跡以外のカルチャースポットとしては、烏山川緑道を東方向へ進んだ所にある「佐藤記念館」。彫刻家・佐藤助雄氏のアトリエを氏の没後に改装したミニ美術館で、佐藤氏が手掛けた彫刻などが展示されています。無料で入館できるのもうれしいポイントです。
次ページ
駅周辺の狭い範囲に、おしゃれな喫茶店やカフェが集中
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • 世界を知れば日本が見える

    韓国の戒厳令、尹大統領はなぜ突然「乱心」したのか。野党だけではない、北朝鮮とアメリカからの影響

  • ヒナタカの雑食系映画論

    独断と偏見で「2024年のホラー映画ランキング」を作成してみた。年末に映画館で見るならぜひ第3位を

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    「あれは全て私がやりました!」 わが社の“承認欲求モンスター”をどう扱うべきか?

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅