フランスの宅配は「荷物が届かない」のが当たり前。では、どうする? 日本には衝撃の郵便・宅配便事情

フランスで生活していて困ることの一つに、「郵便物や宅配便の紛失・返送が多い」という点があります。安全な日本とは文化も慣習も異なるため、配送関係のトラブルが後を絶たないのです。今回はそんなフランスの宅配便事情について解説します。

フランスの郵便ポスト
黄色がトレードマーク。フランスの郵便ポスト(写真は筆者撮影、以下同)
日本では考えられませんが、フランスでは郵便物や宅配便が届かない……ということがよく起きます。荷物が届かないだけでなく、勝手に返送されたり、中身を破損されたり……最悪なケースでは盗まれることも。

「安全に届くのが当たり前」な日本に慣れていると、荷物を受け取ること自体がストレスになってしまいます。

なぜ起こる? フランスの宅配トラブル

フランス在住歴6年の筆者も、これまで幾度となく宅配のトラブルに遭遇してきました。段ボールが破損して中身が汚れてしまった、自宅の庭に荷物を投げ入れられた、近所のお宅に配達された……など、散々な内容です。

また、在宅だったのに不在票を入れられて、日本に送り返されてしまったこともありました。抗議しても聞く耳を持ってもらえず、結局2度の配送料金を払うはめに。

そんなフランスの宅配トラブルは、どうしてここまで多いのでしょうか。主な理由を四つにまとめてみました。

配達員の人手不足と配達環境

フランスでは配達員の労働環境が厳しく、人手不足が深刻。これにより、荷物の扱いが雑になり、誤配達や紛失が多く発生してしまうのです。郵便局員や宅配業者の運営体制や人員配置の問題があるため、解決には時間がかかるとされています。また「広域な配達エリア」も原因の一つだと考えられています。

ストライキの影響で配送が混乱する

ストライキ文化が根付くフランス。労働者の権利を守るべく、郵便局員や宅配業者もストライキを行うことがあります。特に長期のストライキが発生すると、物流ネットワークが混乱し一時的に大量の荷物が遅延するため、紛失リスクが高まってしまいます。

住所表記による配達ミス

フランスの住所表記は日本に比べ、大まかです。日本のようにアパート名や階数、部屋番号が記載されないことが一般的なので、配達員も正確に届けるのが難しいそうです。

日本のような細かい時間指定はなし

日本では2~3時間ごとの細かい時間指定ができますが、フランスではできません。エクスプレス便などで指定できたとしても、それは午前か午後のどちらかのみ。不在の場合は玄関先に荷物を置いていかれるか、送り返されるか、郵便局まで受け取りに行くか、のいずれかになります。
パリの郵便局
フランス・パリの郵便局「ラ・ポスト(La Poste)」
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新しい「受け取り場所」の増設でトラブル回避も
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