萩原健太郎監督の「花」に込めた演出にも注目
萩原監督は直近でも映画『ブルーピリオド』を、原作の再現度や演出も含めて高いクオリティーに仕上げていました。今回の『傲慢と善良』で注目すべきは「花」の演出です。
他にも小道具にはロケ地には大いにこだわりを感じますし、それぞれのシーンの「含み」を考えると、より面白く見られるでしょう。
萩原監督は、傲慢と善良とは一体何だろうと考え続けていたそうで、それはきっと「表裏一体」なのだと気付いたそうです。

劇中の主人公2人はあまりに不完全で、選択も何度も間違ってしまっているように見える、欠点ばかりの人物です。
しかし、それでも、その不完全さも含めて「自分も相手も愛せる」のであれば、それを踏まえた選択を肯定できるし、希望があるとも思えます。前述した通り、「恋愛と結婚の残酷な本質」を示す内容ながら、実はとても「優しい」作品なのです。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。