1849年10月7日、ミステリー小説の先駆者であるアメリカの小説家エドガー・アラン・ポーが亡くなったことに由来しています。
今回は、ミステリーとミステリは意味が違う、世界初の推理小説の意外すぎる犯人など、ミステリーの豆知識をご紹介します。
世界初の推理小説の意外すぎる犯人とは?
世界で初めて書かれた推理小説は、1841年に発表されたエドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』。卓越した分析力を持つ名探偵オーギュスト・デュパンが真夜中のパリで起きた謎の密室殺人事件に挑むというストーリーですが、その犯人が意外すぎることでも有名な作品です。
その犯人とは……なんと脱走したオランウータン!
これだけ聞くと荒唐無稽に聞こえますが、実は窓から飛び移れば密室ではなかったこと、現場に落ちていた体毛など、解決のための手掛かりを読者に提示しておく推理小説としての約束事とされる「挑戦の原則」にのっとって書かれていました。
『モルグ街の殺人』はこのほかにも「天才的な探偵と凡庸な相棒」「出発点の怪奇性と結末の意外性」など、推理小説の雛形を原初にして既に完成させていたことも高く評価されています。
「ミステリー」と「ミステリ」は意味が違う?
『モルグ街の殺人』のような小説を、日本では翻訳が始まった明治20年代には「探偵小説」と訳していました。その際、論理的に謎が解明されない、SFやホラー、ファンタジーなどの要素があるものを、本格探偵小説に対して「変格探偵小説」と呼んでいました。
その後、戦後に当用漢字から「偵」が外されたことをきっかけに、探偵小説が「推理小説」と呼ばれるようになりました。
ただ、変格探偵小説には推理をしないものもあるため、便宜的に本格も変格もひっくるめて「ミステリー」と呼ぶように。
ところが、本格推理小説側はミステリーという雑多な名称を嫌って、原語に近い発音の「本格ミステリ」を使うようになりました。
このような歴史があるため、今でも一部の愛好家の間では本格的な推理小説を「ミステリ」、ホラーやSFなどの要素があるものも含めた全般を「ミステリー」と呼び分けて使われています。`
「ミステリー」と「サスペンス」の違い
では、ミステリーと同じようによく耳にする「サスペンス」は、何が違うのか?サスペンスは、登場人物の不安や緊張など不安定な心理状態が続く様を描き、見ている観客の心を宙吊り(サスペンデット)にするかのようにハラハラ・ドキドキさせる作品のことです。
対してミステリーは、謎解きを主体とする作品のこと。必然的にサスペンスの要素を含むものが多くなりますが、ミステリーではないサスペンス作品も存在します。
ちなみに「サスペンスドラマの帝王」と呼ばれる俳優の船越英一郎さんは「犯人捜しを楽しむのがミステリー。犯人が分かっていて、その主人公が犯人をどう追い詰めていくか物語を楽しむのがサスペンス」と自身の見解を語っています。
歴史ある奥深いジャンルであるミステリー。この機会に、ミステリー小説や映画を楽しんでみてはいかがでしょうか。
この記事の筆者:石川 カズキ
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル「コントするイシカワくん」シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など。お仕事あればお気軽にご連絡ください。AIから仕事を奪うのが目標です。