この記事では、『ブラックペアン シーズン2』について、主に二宮さんの演技を中心として、その魅力を探っていきたいと思います。(※以下、ネタバレあり)
主人公が変更したのに主演は同じというトリッキーな設定
まだ『ブラックペアン シーズン2』を見ていないという人のために、簡単にここまでのストーリーを振り返っていきます。今作は、同局で2018年に放送された日曜劇場 『ブラックペアン』の続編で、舞台はそのままに6年後の世界が描かれています。原作は海堂尊さんの小説『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』(ともに講談社)となりますが、『シーズン2』ではドラマオリジナルの設定が多く出てきます。
『シーズン1』では、天才的な技術を持つ外科医・渡海征司郎が主人公でしたが、『シーズン2』では世界的な天才外科医・天城雪彦に変更。しかも、主人公は二宮さんが続投するという驚きの展開となりました。
渡海は、腕のない医師を忌み嫌い傲慢(ごうまん)な言動を繰り返す厄介者。しかし、手術成功率は100%をほこる天才という魅力あふれるアウトローなキャラクターとして描かれました。通称“オペ室の悪魔”と呼ばれ、クセのある医者でしたが病院を去り行方が分からない状況です。
『シーズン2』では、そんな渡海と同じ顔を持つ天城が登場。天城の手術を受けるには、財産を差し出しシャンス・サンプル(二者択一)の運試しを行い成功することが条件となります。法外な治療費を要求し反感を買いながらも、「ダイレクト・アナストモーシス」という手技ができる唯一の医師であり、誰も逆らえない状況に。結果、“ディアブル(悪魔)”と呼ばれ医師たちの間では尊敬されながらも恐れられています。
舞台は同じ病院で、『シーズン2』にも竹内涼真さん、葵わかなさん、小泉孝太郎さん、趣里さん、内野聖陽さんといった主要キャストが再集結。つまり、二宮さんだけ役柄が違っていることになります。
二宮さんは、2作を通してクセのある医師を演じているわけですが、この両者が双子だったことが最新回で判明。これまでも一人二役を作品で演じた役者はいましたが、2役ともに天才外科医という設定は聞いたことがありません。しかも、注目度の高い日曜劇場作品で、一人二役を主演で演じるというのは快挙です。
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華麗な演出で視聴者の違和感を排除
そんな何とも不思議な作品で二宮さんは双子を演じていますが、第8話の演出が素晴らしいものでした。まず、これまで一人二役を役者が演じる場合、CG合成や編集でつなぎ合わせるなど、違和感を覚えるものが多かった印象です。しかし、今回は天城が持病で倒れ、渡海が救いに来るという演出で、再会の場面ながら同時に映ることを回避。つまりは、天城は手術中なので顔が見えず、二宮さんは渡海だけを演じ、不自然なCG合成をなくしました。
しかも、天城が死ぬかもしれない大ピンチに、生き別れていた渡海が外科医として現れるわけで、これまでにない胸アツな展開に持っていくところが最高です。今後、最終回までに2人が同じ画面に映ることがあるかは解りませんが、視聴者にモヤモヤを与えない、現状は見事な脚本と演出で二宮さんの一人二役を見せています。