「石井、入院です」
5月下旬、仕事中から左腰背部に走る鈍い痛み。まさかね、まさかこんな短期間で来ないだろうし、前回より全然痛みのレベルは低い。だって、歩けるし! と、言い聞かせながら月~火曜日をやりすごしたものの、日に日に痛みは増してゆく……。水曜日、とうとう観念して主治医の元へ。「先生、お願い。違うと言って」という願いもむなしく、尿管に詰まっている6ミリの結石がCT画像にくっきりと。1センチ以内なら自然排出が望めるかもしれないと、苦手な水分摂取を1日2リットル続け足掻いてみたものの1週間後、もはや歩けぬほど状況は悪化。主治医から、「石井さん、もうダメだ。1週間で1センチしか動いてないよ。破砕前提で泌尿器行こう!」と言われ、紹介状を受け取りました。
翌日、紹介された基幹病院の泌尿器科へ。そして、男性医師は「とりあえず、今日これからステント入れましょう。もう点滴も座薬も効かないんでしょ。今日入院で、明日には退院できますよ」って、えっ? 入院? 「静脈麻酔なんで、ぼーっとしている間に終わります」「後日、手術で石を取りましょう」と次々に説明する医師。「えっ? あの、なんかおなかに衝撃波を当てて結石を砕くのって、日帰りでできるあれはできないんですか?」と、心臓をドクドク鳴らす筆者。「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)ですよね。結石が腎臓に近すぎて出力上げられないんで、無理です。今日、ステント入れて、2週間後に内視鏡で取ります」と説明を受けるのですが、人生で手術は初めて。しかも、入院も初めて! もう、脳内大パニックです。でも、もう、これしか道はない。「お願いします」と頭を下げ、編集部に「石井、入院です」と連絡しました。
人生初の手術室
すぐに術前検査で血液検査やレントゲンなどを回り、そのまま病棟へ。病棟に着くと、看護師が「これから手術なので、着替えてください! あと、血栓防止の靴下も履いてください」と、めちゃくちゃきついハイソックスを手渡されました。これは1人で履けず、看護師さんに手伝ってもらうことに。そして、半泣き状態のまま手術室へ。ドアが開くと、そこには笑顔がまぶしすぎる天使のような美しい“オペ看”の女性がいました。手を引かれて手術台の横にあるステップを1段、1段登ります。恐怖は最高潮を迎え、振り返ると天使が優しくほほえんでいました。そして、意を決して手術に挑む筆者、あっという間に尿管へのステント留置は無事終了です。「ぼーっとしている間に」と言われたけれど、何回か「痛い! いたぁーーい!」と絶叫した記憶があるのは、なぜだろう……。
そして翌朝、無事に退院。ステント生活がここから約1カ月、始まります。このステント、体を動かすとおなかが痛み、なかなかにつらい。さらに困ったことに、頻尿になります。冗談抜きで1時間に2~3回はトイレへ。この頻尿のせいで夜もまともに眠れません。
そんな状態でどうにか2週間を過ごし6月中旬、「経尿道的尿路結石破砕術」の手術を受けました。前回の手術と違い、今度は全身麻酔で3泊4日の入院です。手術は2日目。相変わらずガタガタと震えながら手術室へ向かうと、「石井さん、覚えていますか? この前もご一緒しましたね」とマスク越しに輝く笑顔。ステント留置の手術でお世話になった看護師の女性の姿に、ほっとしたのを覚えています。全身麻酔をされる前は、絶対に寝ない、落ちない、踏ん張るぞと決めていたのに次の瞬間、「石井さん、終わりました」という声が。術後に発した筆者の言葉は、「ありがとうございます。記事用のサムネ写真、撮らせてください」でした。
いやぁ、全身麻酔ってすごいものですね。入院2日目の12時だったか13時頃から約1時間の手術だったのですが、とにかくめちゃくちゃだるい、眠い。意識がはっきりしたのは23時前後で、翌朝、点滴とカテーテルを外してもらい、トイレへ向かおうとしたのですが、ぐにゃぐにゃと世界がゆがみ、目まいに襲われ真っすぐ歩くことができません。幸い、術後の痛みはほぼなく、相変わらずステントの痛みが残っているくらいで、血尿も思ったほど出ませんでした。4日目の退院する朝になると、目まいは治まりましたが、突然だるくなったり、そしてまだ体内に留置されているステントの放散痛が相まって、「全身麻酔ってこんなにも体への負担があるのか~」と思いながら、退院後3~4日はぐったりしていました。ただ、これは体力が乏しい筆者の経験なので、皆さんが同じというわけではないですよ。
ステントは退院から2週間後に抜去、そこで治療は終了しました。看護師さんの「石井さん! 卒業です!」っていう言葉に小躍りしながら歓喜。改めて水分摂取と食事の大切さ、そして医療従事者への感謝など。この2カ月で筆者もいろいろと学びました。仕事中も、1時間半ごとにタイマーをセットして、水分摂取を心がける、ずっと座りっぱなしではなく少し体を動かしてみる、トイレもこまめに行くだとか。再発率も高いと言われる尿管結石ですが、また病棟に「ただいま~」と戻らないで済むように、日々の生活を気を付けたいと思う筆者です。最近は、日が沈むのも早くなり、秋の足音が近づいてきました。とはいえ、まだまだ暑さは続いています。水分不足になるとできやすい結石、皆さまもどうぞお気を付けて。