電子レンジから出る電磁波が食品の栄養素を壊すと聞きました。本当ですか?【家電のプロが回答】

「電子レンジから出る電磁波が食品の栄養素を壊す」といううわさは本当なのでしょうか。「All About」ガイドで、調理家電に詳しいコヤマタカヒロが解説します。

電子レンジの電磁波が食品の栄養素を壊す恐れがあるって本当?
電子レンジの電磁波が食品の栄養素を壊す恐れがあるって本当?
マイクロ波によって食品を温める電子レンジ。このマイクロ波が食品の栄養素を壊すといううわさがあるようです。

実際のところはどうなのか、「All About」ガイドで、調理家電に詳しいコヤマタカヒロが回答します。
 

(今回の質問)
電子レンジから出る電磁波が食品の栄養素を壊すと聞いたのですが、本当でしょうか?

(回答)
マイクロ波によって栄養成分が破壊されることはありません。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

そのような事実はありません。WHOも否定しています

電子レンジではマイクロ波を使って食品に含まれている水分を振動させて温める仕組みです。このとき、マイクロ波がさまざまな栄養成分を破壊する、発がん性物質が発生する、などと言われることがあります。これは電子レンジが普及した1980年代以降、世界中で言われてきました。

しかし、正しく使う上では電子レンジの使用で健康に影響を及ぼすことはなく、また、栄養成分を破壊するといったことはありません。電子レンジはマイクロ波が外に漏れないように厳密に設計されています。ドアが開くとマイクロ波は停止するため、電子レンジを使っていて健康被害を受けることはありません。

WHO(世界健康機関)の電子レンジに関する情報シートにも、「電子レンジで調理された食品は、オーブンで調理された食品と同じように安全であり、栄養価も変わりません」と記載されています。

むしろ多くの栄養成分を残すことが可能です

さらに食品の栄養成分を残すという意味では、電子レンジ調理は非常に優れています。例えば、ビタミンCは熱に弱い特性がありますが、野菜をゆでるよりも電子レンジの方が短時間で加熱できるため、より多くの栄養成分を残すことができます。また、水溶性の栄養素が溶け出しにくいのもポイントです。

ただし、レンジ調理に向かない食材もあります。例えば水分をほとんど含んでいない食材は温められません。根菜や干物、乾物などは濡らしておくなどの下準備が必要です。また、ラップなどをしない状態で、温めすぎると水分が失われて硬くなることもあるので使い方に注意が必要です。

All About ガイドがすすめる電子レンジ:シャープ「RE-TD184」

この記事の筆者:コヤマ タカヒロ
1973年生まれ。家電とデジタルガジェットをメインに雑誌やWebなど様々な媒体で執筆するライター。執筆以外に監修やコンサルティングなども行っており、企業の製品開発、人材教育、PR戦略に関するアドバイザーなども務める。米・食味鑑定士の資格を所有。家電のテストと撮影のための家電スタジオ「コヤマキッチン」を用意。
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