なぜ増える? 小人の妖精が毎年増える、ポーランドの謎の街「ヴロツワフ」へ行ってみた

「あ、ここにも!」「あそこにも」——ポーランドのヴロツワフは、街のあちこちに小人の妖精のブロンズ像があり、観光客は小人の妖精探しに夢中。しかも、その妖精はかなりのハイペースで増えています。一体なぜ、妖精が増え続けているのでしょうか? 現地で理由を探ってきました。

ヴロツワフの小人の妖精
旧市街広場の石のベンチにもよく見ればギタリストのブロンズ像が! 街で同時にギターを演奏した人の数でギネス記録に挑戦したことにちなんだもの
妖精に会える街——。なんて書くと、どこかスピリチュアルな響きですが、実際にそんな街があります。

先ごろ、プレスツアーで訪れたポーランド西部の街、ヴロツワフ。街を歩いていると、店の前や観光スポットの影など、至る所で小人の妖精のブロンズ像を見かけます。一体なぜなのか、街の人たちにとってはどんな存在なのかを探ってきました。
ヴロツワフの小人の妖精
お酒のボトルを盗んできた小人の妖精たち。ポーランドのお酒といえばウォッカが有名

小人の妖精は(おそらく)1000体以上!

ヴロツワフの小人の妖精の銅像
窓に注目! こんなところにもいるので注意深く周りを見ながら街を歩こう

とにかくあちこちで見かける小人の妖精のブロンズ像。気になるのはその数です。地元のガイドの人に聞いてみると、「聞かないで(笑)」との回答。というのも、毎日のように増えているから。始めのうちは、ヴロツワフの市街地だけでしたが、今や郊外の工場などにも設置されているそう。観光公式サイトには、2020年半ばには360体だったという記述がありますが、今や1000体を超えているだろうとのことです。

誰が何のために設置しているのか?

パパ・ドワーフ
小人の妖精のブロンズ像、第1号の「パパ・ドワーフ」はオレンジ・オルナタティブの象徴。サイズも大きい
設置のきっかけは歴史的なことから。ヴロツワフでは第2次世界大戦後に「オレンジ・オルタナティブ」と呼ばれる反共産主義運動が起こりました。その際、武力行使をせずに、政府を揶揄(やゆ)する手段として、壁に小人の妖精の落書きを描いたのが始まり。1980年代には学生は小人の帽子をかぶって活動をしていたそうです。その後、第1号のブロンズ像「パパ・ドワーフ」が設置されると、どんどんブロンズ像が増えていき、今では観光的な見どころの1つになりました。
ヴロツワフの小人の妖精の銅像
ヴロツワフ大学の前には教授のブロンズ像が。被写体としても人気
意味合いも変わり、今ではいわば、良質な広告ツールに。会社や銀行、レストランなど、さまざまな企業がオーナーになっています。小人マップを片手に観光客がやってきて、場合によってはタワーに入るためのチケットを買ってくれたり、レストランで食事をしてくれたりするわけです。
ヴロツフフの小人の妖精の銅像
小人の妖精たちはすっかり街に溶け込んでいる
ちょっと夢のない話で恐縮ですが、妖精のお値段は1体1万ズロチ(約40万円)ほどだとか。広告ツールだと考えれば、それほど高くはないのかも!? 土地の所有者と話がついた人、あるいは所有者本人が、アーティストに依頼し、設置されたらデータベースに追加されるそうです。ちなみに現在、観光公式サイトで紹介されているアーティストは8人です。

観光のエンターテインメントとしても大人気!

ドワーフインフォメーション
観光インフォメーションならぬ、ドワーフ(小人)インフォメーションも。マップやお土産がそろう
街もすっかり小人の妖精推しです。小人マップを片手にスタンプラリーを楽しむ子どもたちもいますし、観光公式サイトでもしっかり紹介されています。お土産も小人の妖精をモチーフにしたものがたくさん売っていました。
小人マップやキーホルダー
マップやキーホルダーもある
次ページ
ポーランド・ヴロツワフの妖精以外の見どころ
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • 「正直、日本ってさ…」外国人に聞くぶっちゃけニッポン

    「台風で雨が流れ込んできたとき…」ハワイ出身アメリカ人男性に聞く“日本の好きなところ”が意外すぎた

  • ヒナタカの雑食系映画論

    大人にこそ見てほしい「プリキュア映画」をランキングにしてみた。映画『わんぷり』と併せて見てほしい

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    実はホワイトな「690円カット美容室」 サラリーマン美容師の年収1000万円超を実現するビジネス戦術とは

  • どうする学校?どうなの保護者?

    岡山県PTA連合会「解散」の衝撃 「時間的な負担が大きかった」元市P連会長の証言