社内恋愛がバレて異動になりました。これってパワハラでは?【転職のプロが解説】

女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』の編集長である小林佳代子が回答。今回は「社内恋愛による異動」について。

社内恋愛がバレて異動になりました。これってパワハラでは?
社内恋愛がバレて異動になりました。これってパワハラでは?
女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』の編集長である小林佳代子が回答。今回は「社内恋愛による異動」について。
 

(質問)
社内恋愛がバレて異動になりました。これってパワハラでは?

(回答)
社内恋愛による異動は、組織体制、風土的に見て正当な対処です。とはいえ、従業員にとって著しく不利益な異動である場合はハラスメントに該当するケースもあります。恋愛に関してはプライバシーの問題なので、社内規定はあっても罰則を設けることはできません。周囲や自身の仕事のパフォーマンスに影響が出ないよう最大限配慮することが大切です。


詳しくは以下で解説します。

社内恋愛による異動は一般的にハラスメントにあたらない

社内恋愛による異動は一般的にハラスメントとはみなされず、組織体制や風土を鑑みての判断であれば正当な対処と言えます。ただし、異動の過程やその後の対応において、不当な扱いや圧力があったり、従業員が明らかに不利益を被る場合、ハラスメントに該当する可能性もあります。

人事異動は全体最適を考えて行うことが多いため、「女性だから異動」となることは本来ないはずですが、「男性の方が管理職にしやすい」「女性はライフイベントなどで仕事を中断する可能性がある」といった意識が働くことはまったくないとは言い切れないのが現状です。

社内恋愛についての社内規定は抑止力の場合も

企業によっては、恋愛によって双方の利害関係に影響を及ぼしたり、情報漏洩のリスクを抑えたりする目的で「恋愛禁止」というルールを定めていることがあります。

ただ、本来恋愛についてはプライバシーの問題なので、企業が罰則を設けることはできません。服装や副業に関する規定などと同じように「任意的記載事項」に該当する項目ですので、どちらかというと「抑止力」として規定している場合が多いでしょう。

約半数の女性が社内恋愛の経験あり。結末は「別れた」が最多

『女の転職type』が実施した社内恋愛に関する調査では、社内恋愛をしたことがあると答えた人は約半数にのぼりました。
社内恋愛、したことある?『女の転職type』データで知る仕事と女性より
社内恋愛、したことある?(画像出典:『女の転職type』データで知る仕事と女性、以下同)
社内恋愛経験者にその後どうなったかを聞いてみると、「交際して別れた」が54.5%と最も多く、続いて「結婚した」が25.5%でした。「告白せず終わった」「振られた」といった回答もあり、社内恋愛が成就し結婚に至るケースはそれほど多くないことが分かります
社内恋愛の結末は?『女の転職type』データで知る仕事と女性より
社内恋愛の結末は?
また「社内恋愛や結婚を制御するルールや暗黙の了解はある?」という質問に「なし」と答えた人は約4割でした。一方で「社内結婚したら同じ部署NG」や「社内恋愛したら同じ部署NG」と答えた人もそれぞれ1割程度おり、中には「社内恋愛NG」「社内結婚したらどちらかが退職」と答えた人もいました。明確に社内規定として定めていなくとも、暗黙のルールがあるということも珍しくなさそうです。
社内恋愛や結婚を制御するルールや暗黙の了解はある?『女の転職type』データで知る仕事と女性より
社内恋愛や結婚を制御するルールや暗黙の了解はある?

周囲や自身のモチベーションに影響しないよう配慮して

周囲に社内恋愛していることが知られてしまった場合、思わぬ反応をされたり、うわさが広がったりするケースは往々にしてあります。また前述のアンケート結果のように、将来的にお別れをすることもあるでしょう。恋愛は個人の自由とはいえ、社内恋愛をする際は周囲や自身のパフォーマンスに影響が出ないように最大限配慮をするという意識は必要です。

個人的には、直属の上司と部下のように、恋愛が人事評価に影響する可能性がある、もしくは周囲からそう判断される可能性があるなど、仕事上の利害関係が大きい場合は、自ら異動を願い出ることも必要になると感じます。

いずれの場合も、風紀を乱したり公私混同したりせず、仕事のパフォーマンスを落とさないようビジネスパーソンとして責任のある行動を意識することが大切です。

この記事の筆者:小林 佳代子
新卒でキャリアデザインセンター入社。転職情報誌および転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。プライベートでは2児の子育て中。

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