今回は日本の裏側にあるチリ・サンティアゴに住んでいるパウラさんにお話をうかがいました。両国をつなぐ直行便はなく、最低でも1回は乗り継ぎを挟んで、1日以上かかります。気軽に行くのは難しい距離ですが、2度も日本を訪れたことがある「日本大好き」なパウラさん。
パウラさんは、2008年に北海道北見市に1年間留学をし、2023年4~5月にかけて日本を1人旅を経験。15年前と比べ、新たに感じた日本の魅力や、ちょっと足りない点などを話してくれました。
日本は「安かった」。旅行で円安効果を実感
日本は円安の状況が続いており、海外からするとそこが魅力にも映ります。以前取材に応じたアメリカ人のRさん(仮名)も「サブウェイで円安を感じた」と答えていました。では、そもそも物価が安いチリ人から日本はどう見えるのでしょうか。パウラさんは「安かった」と断言。「日本はめっちゃ高いイメージがあったけど、全然違いました」とのこと。
「周りはみんな『日本高すぎて行かない』って言うけど、チリと比べると(物価は)似ています。もしかしたら、(日本の方が)安いかも」と、衝撃の!? 事実を話してくれました。「南米」といえば、格安でバックパッカーたちが行く国というイメージがありますが、今はもう日本が「格安側」になってしまったのでしょうか。
GDP(国内総生産)を見てみると、日本は約4兆ドル、チリは約335億ドルとまだまだ差はあるにもかかわらず、個人の生活という視点で見れば、日本とチリの金銭的な差は縮まってきているようですね。
日本人に対し「そこまで相手に合わせる必要はない」
また、日本人の特徴について言及したパウラさん。「例えば、『私はポケモンがとても好きです』と言ったら、『私もポケモン好きだよ』って言ってくれる人が多いですが、本当はポケモンが好きではない人もそう言ってしまう傾向にあると思います」と話しました。「そこまで相手に合わせる必要はないです。もちろん、相手の手料理がおいしくなかった場合は『おいしくなかった』と正直に言う必要はなくて、チリ人も気を使いますが、『自分の好み』を言うだけであれば、相手は傷つかないのです」とのこと。「自分」と「相手」がしっかり独立していて、互いに「違う人間」だと分かっているからこそ、自分の意見はちゃんと言う、相手に合わせる必要はない、ということなのでしょう。
さらに、「南米の人は周りを大事にするから、『作った料理おいしいよ』『その新しいドレスめっちゃかわいいよ』とかはすごく言います。でも、自分のことなら、素直に言います。本当に友達になりたいから、自分を偽りません。ほかの人に好みまで合わせるのは、ちょっと違うと思います。チリ人にとって壁を作っているように思えてしまいます。たとえ、好きなものが違っても友達になれます」と続け、「ポケモン大嫌いっていう人ももちろんいます。私が好きなドラマが嫌いな人も友達の中にはいます。でも彼らは私の友達です」と、チリ人の考えを語ってくれました。
チリ人のそういった考え方は、幼い時に培われるのでしょうか? 教育によるものなのか、疑問に思い聞いてみると、「みんな違うのがいいことです」と答えてくれました。「みんな同じがいい」と思っている日本人は多いと思いますが、チリ人はそれとは逆の考え方をしているようです。両者の考え方の違いが面白いですね。