ビジュがハマりすぎ! 舞台『未来少年コナン』の加藤清史郎「みんなの中のコナンを引き出したい」

1歳でデビューして以来、幅広く活躍する加藤清史郎さんが、宮崎駿監督の原点と言われる名作『未来少年コナン』舞台版に主演。演じることで得た「気付き」を語ってくれました。

加藤清史郎さん
加藤清史郎さん 撮影:松島まり乃
1歳でデビューして以来、テレビドラマから映画、CM、舞台まで、幅広く活躍中の加藤清史郎さん。そんな彼の最新作は、宮崎駿監督(※崎はたつさき)の原点と呼ばれるアニメ『未来少年コナン』を舞台化した作品です。
 
最終戦争後の荒廃した地球を舞台に、野生児のコナンが権力にしがみつく大人たちと戦う冒険活劇。タンクトップにショートパンツ、並外れた身体能力を持つコナン役は、かつて野球少年でもあった加藤さんにぴったり!? 稽古も佳境を迎えた中での心境をうかがいました。

ものまねのレパートリーはマニアック!?

1978年にNHKで放映された『未来少年コナン』は、宮崎駿さんが初めて監督を務めたアニメ。その後の宮崎作品に見られる要素がぎっしり詰まった名作として知られています。本作の初放映時にはまだ生まれていなかった加藤さんですが、宮崎監督作品には強い愛着があるのだそう。

「ものまねのレパートリーがあるほど(笑)、監督の作品に親しみながら育ちました。例えば『ハウルの動く城』のカルシファーとか、『崖の上のポニョ』だと、宗介の小型の船をポニョが魔法で大きくする瞬間に、目と目が離れてうーっとなる顔とか(笑)。
 
『となりのトトロ』で勘太が(サツキに)傘を渡すところとか、雨が降ってきてジャンプするトトロとか、猫バスの開閉音もできます!(笑) 張り詰めた空気を作る瞬間をまねることが多いですね」
 
ものまねを楽しむだけでなく、作品が発するメッセージにも感銘を受けてきたと言います。
 
「(宮崎監督の作品は)どれも、しっかりとした重みを感じます。重いテーマをポップなイメージで作品化しているので、子どもでも楽しめるけれど、観た後で“あれは何だったんだろう”“これはこういう意味なのかな”と考えさせてくれます。SF的に見えて、リアルなんですよね。
 
その中でも『未来少年コナン』は、宮崎監督作品の原点と呼ばれていて、まず環境があって、人間と動物がいて、文明があり、さらにこの世の摂理みたいなものが描かれています。その中で、“君たちはどう生きるか”を問うている作品なのかな、と感じます」
 
未来少年コナン
(c) NIPPON ANIMATION CO., LTD. 
“Incredible Tide”   Copyright (c) 1970 by Alexander Key   Stage performance rights in Japanese language arranged with McIntosh & Otis, Inc. through Japan UNI Agency, Inc.

コナンが“フリーズ”している瞬間は“ただ立っている”のではなかった

今回、いったん台本で“文字”化されたコナンを読み込むうち、改めてアニメ版の表現の意味が分かった気がします、と加藤さんは言います。
 
「宮崎駿監督の作品には、しばしばキャラクターがフリーズしているような瞬間がありますよね。特にコナンはそれが印象的なのですが、それって“ただ立っているだけ”ではないんだな、と痛感しました。それまで“おじい”としか話す機会がなかったから、コナンは相手が言っていることを一生懸命聞いて、それに対してどう言ったらいいかというのを、ものすごく考えているんです。
 
例えばラナに対して、こういうことを言ったら彼女は悲しむかもしれない、と考え、(言葉を選んで)返しています。もちろん11歳くらいの少年でまだ成熟していないから、“おじい”に注意されたりもするけれど、無鉄砲に見えてもすごく人の話を聞くんです。だから成長するし、みんなも彼の言葉に耳を傾けるようになるんだ、と思いました。コナンという人物の深さを感じます」
加藤清史郎さん
『未来少年コナン』の初の舞台化に意欲満々の加藤清史郎さん
一方で、野生児のコナンは身体能力抜群。例えば驚異的な腕力を発揮するシーンもありますが、重量挙げのトレーニングなどは、あえてしなかったのだそう。
 
「今回コナンを演じることになって、僕は逆に、ジム通いを止めました。コナンは大自然育ちなので、筋肉がついていたとしても、それは自然につく筋肉。今回の演出家のうち、お一人はインバル・ピントさんという、振付家でもある方なので、彼女の下で稽古を進めていけばコナンに必要な筋肉はきっと自然につくだろう、不必要なものはなるべくそぎ落とそう、と思ったんです。
 
その代わり、改めて自分の身体に向き合いました。都会で生きてきた僕が少しでも、自由に体を操れるコナンに近づけるよう、腕の長さを再確認することから始まって、自分の身体で何ができるのか。そして、何ができないのかを知った上で、稽古に臨んだつもりです」
 
コンテンポラリー・ダンス界の鬼才、インバル・ピントさんの振付のもと、今は“創っては壊し”の刺激に満ちた日々を送っているそう。
 
「“これをこう表現するのか!”といちいち驚くことばかりだし、その創り方がシーンごとに全部違うんです。始めの頃はできない動きが多くて、ストレッチさえ痛くて痛くて仕方なかったけれど(笑)、積み重ねてできるようになったこともあるし、ずっとインプットだったものがアウトプットしつつインプット……というサイクルが生まれて、楽しくなってきました」
 
コナンに扮(ふん)した宣伝ビジュアルを観た人々からは早速、“まさにコナン!”“はまり役”との声が上がっています。
 
「いえいえ、僕はコナンほど“できた”人間ではないです(笑)。彼は人間の“あるべき姿”であり、希望ですよね。
 
でも、逆に言うと、コナンはもともと“みんな”の中にいるのかもしれません。もしこのお芝居を通して、皆さんの中の“コナン”を少し引き出せたなら、これほどうれしいことはないなと思います。そういうコナンとして舞台上に立てるよう、努めたいです」
 
加藤 清史郎さんプロフィール
神奈川県出身。1歳でデビューし、映像、舞台、CMなど幅広く活躍。近年の出演作に映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』、テレビドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』などがある。

公演情報

舞台『未来少年コナン』5月28日~6月16日=東京芸術劇場 プレイハウス、6月28~30日=梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

【クレジット】スタイリスト:古舘謙介、ヘアメイク:Ken Nagasaka 衣裳:ジャケット、ネクタイ / ともにKent Ave.、シャツ / SENTINEL
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