恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第99回

JR九州の新しい観光列車「かんぱち・いちろく」乗車リポ! 他の列車にはない“一風変わった体験”があった

2024年4月26日、JR九州の新しい観光列車「かんぱち・いちろく」が運行を開始した。新しいデザイナーを起用したこの列車の車両や車内、お弁当、車窓から見える景色などを紹介しよう。

曜日ごとに異なるお弁当は“名店の味”

ランチ
福岡市内の名店「味竹林」が用意した豪華な昼食
特急「かんぱち」は博多発12時19分。まずは久留米駅まで鹿児島本線を南下する。すぐに客室乗務員が食事をもってやってきた。

食事ができるようにテーブルをセットして、専用のランチョンマットを広げると、2段重ねのお重が置かれた。上段と下段を並べたところで、献立の説明を受ける。

この日は水曜日だったので、福岡市内の名店「味竹林」が用意した和食のお弁当だ。玄海ヒラメ、日田ワラビ酢の物、豊後牛白ワイン煮といった沿線の食材をふんだんに盛り合わせた豪華なもので、ちらし寿司と八女茶御飯もある。他の曜日は別の名店が担当する独自のメニューとなる。

おもてなし駅の駅舎や歴史にも注目を

車窓の見どころは久留米を発車し、久大本線に入ってからなので、しばらくは食事に専念する。列車は特急とはいえ、あちらこちらで運転停車をしながら進む。特に急がないという意味の特急なのであろう。乗客も観光が目的なので、誰も文句は言わない。 
田主丸駅での歓迎ぶり。ゆるキャラ「くるっぱ」も愛嬌を振りまく
田主丸駅での歓迎ぶり。ゆるキャラ「くるっぱ」も愛嬌を振りまく
久留米から久大本線に入る。右手には耳納連山の穏やかな山並みが続く。博多を出て1時間ほどたった頃、小さな田主丸(たぬしまる)駅に到着。ここで12分停車する。ホームでは大勢の子どもたちと地元の人々が小旗を振って出迎えてくれる。 
田主丸駅
河童の形をした田主丸駅の駅舎
田主丸は河童(かっぱ)伝説で知られた町で、河童の形をした愉快な駅舎が目につく。田主丸町のある久留米市のゆるキャラ「くるっぱ」も参加して愛嬌(あいきょう)を振りまいていた。地元の名産品やゆるキャラグッズを販売する出店には、河童の衣装をまとった人もいて大いに盛り上がっている。 
伐株山
伐株山も車窓に登場
あっという間に12分が過ぎ、大勢の人々に見送られて発車。列車は大分県に入り、日田を過ぎ、次第に山深いところを走るようになる。天ケ瀬を出てしばらくすると、「慈恩の滝」が車窓右手に見えるとのアナウンス。見物や撮影がしやすいように徐行運転してくれるのはうれしい。

続いて、台形状の特異な風貌をした伐株(きりかぶ)山が同じく右手に見えてくる。すっきりした写真がなかなか撮れず、何枚もシャッターを押してしまう。そして豊後森を出ると、すぐに鉄道遺産ともいうべき9600形蒸気機関車と扇形庫の脇を通過する。このあたりは車窓からの見どころが多く、休む暇がない。 
惠良駅
恵良駅前では獅子舞による歓迎もあった
列車は豊後森の次の小駅・恵良(えら)で16分停車する。ここでも大勢の子どもたちや地元の人々の歓迎を受ける。子ども2人による1日駅長、駅前での獅子舞など田主丸駅とは異なるおもてなしに目が行く。また地元の八鹿酒造が商品を販売していた。

ところで、この小駅に停車した理由は、列車名ともなっている「かんぱち」ゆかりの地だからだ。すなわち、駅近くに本社がある八鹿酒造を再興するとともに、久大本線敷設に尽力した人物・麻生観八氏にちなんでの命名なのだ。駅舎内には、「九重町先哲資料館」があり、麻生観八氏の業績を年譜とともにたたえている。
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ラウンジに集まるようアナウンスがあり、出かけたら……
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