「正直、日本ってさ…」外国人に聞くぶっちゃけニッポン 第5回

「タイ人にとって、パクチーは…」日本在住歴13年のタイ人女性に聞く「日本のタイ料理」への正直な感想

日本に住む外国人は、日本のどんな文化や風習に驚きを感じるのでしょうか。タイ人の女性に、「日本のタイ料理」についての感想や、タイと日本の食文化の違いなどについて聞いてみました。

タイ人女性に聞いた「日本のタイ料理」への正直な感想
タイ人女性に聞いた「日本のタイ料理」で驚いたこと
出入国在留管理庁によると、2023年末までで集計した在留外国人数(永住者や中長期在留者)は341万992人で、過去最高値を更新。また、国内で在留外国人数が最も多いのは、66万3362人の東京都で、全国の19.4%を占めています。

日本に住む外国人は、日本のどんなところに出身国とのカルチャーギャップを感じるのでしょうか。今回は、東京に住むタイ人の女性に、食文化に関する日本への印象を聞いてみました!

日本を好きになるきっかけとなった「人気ロックバンド」とは

今回お話をうかがったのは、タイ・ウボンラーチャターニー出身のNさん(仮名)です。まず、日本に住むようになったきっかけを話してくれました。

「日本には、13年ほど住んでいます。もともと、『日本語を上手になりたい』『日本に住みたい』という気持ちがあって移住を決めました」

日本に興味を持ち始めたきっかけを尋ねると、ある「ロックバンド」の名前が!

「日本のバンドが好きで、L'Arc〜en〜Ciel(ラルク アン シエル)などをきっかけに日本を好きになったんです。当時は、カセットテープを買って聞いていたので、バンドメンバーの顔も知りませんでしたが(笑)。世代にもよりますが、タイでは日本の音楽も人気があるんですよ」

なんと、ラルク アン シエル……! 日本でも人気が高いロックバンドですが、音楽好きのNさんはタイでアンテナを張り巡らせて、“ラルク”をきっかけに日本に興味を持ち始めたのだそうです。

「日本にいるときは、『辛さを増してください』と言ってしまいます」

Nさんの出身国であるタイといえば、トムヤムクン、パッタイ、カオマンガイ……と、有名な料理がたくさんあり、“グルメ大国”としても愛されている国。日本でもタイ料理の人気は高く、全国津々浦々にタイ料理店がひしめいています。

「日本のタイ料理」の味は、本場のものとはどのような違いがあるのでしょうか。Nさんに聞いてみると、「そうですね……」とほほ笑みながら、こんなことを話してくれました。

「日本のタイ料理は、とにかく“やさしい味”という印象です。辛さや味付けも、日本人向けに作られている。タイ人向けのタイ料理は味も濃く、辛さのレベルもすごく高いんです」

日本人にとっては(特に筆者の場合)、日本でタイ料理を食べるときもだんだん汗が噴き出してきて、十分辛い……と感じてしまいますが、本場のタイ料理はより辛いということなのでしょうか?

「タイにいるときは、必ず『辛さを控えめにしてください』とオーダーしないと食べられないほど辛いんです。反対に、日本にいるときは、『辛さを増してください』と言ってしまいます。ちなみに私は、同じタイ人に比べると、辛さに耐性がない方だといえますね」

なるほど、本場だとさらにケタ違いの辛さなのですね……。

タイ人にとってのパクチーは、日本でいうと「パセリ」「薬味」

パクチー
タイ人にとっての「パクチー」とは
ちなみに、タイ料理といえばパクチーがたくさんのっているイメージですが、タイでは「パクチー増し」とオーダーしなくても、もともとたくさん入っているものなのでしょうか。

「いいえ、現地で提供されるタイ料理には、パクチーは本当に少ししか入っていないんです。タイ人にとってのパクチーは、日本でいうと『パセリ』とか『薬味』のようなものですね。ですから、日本人がこんなにたくさんパクチーを食べるのが驚きなんです。タイには、“パクチーだけの料理”もありません」

ええっ、では「パクチーサラダ」のような料理もタイにはないのでしょうか?

「ないですね。パクチー自体、特に人気がある食材というわけではないので、料理にパクチーがのっていなくても気付かないことも多いです(笑)」

タイ料理好きで、“パクチー狂い”の筆者にとっては衝撃だった「タイ人はパクチーにあまり興味がない」という事実。料理に彩りを添えるため、仕上げに使われる「パセリ」のような存在感といわれると、なんだか納得感もあったのでした。
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