日本に住む外国人は、日本のどんなところに出身国とのカルチャーギャップを感じるのでしょうか。今回は、東京に住むタイ人の女性に、食文化に関する日本への印象を聞いてみました!
日本を好きになるきっかけとなった「人気ロックバンド」とは
今回お話をうかがったのは、タイ・ウボンラーチャターニー出身のNさん(仮名)です。まず、日本に住むようになったきっかけを話してくれました。「日本には、13年ほど住んでいます。もともと、『日本語を上手になりたい』『日本に住みたい』という気持ちがあって移住を決めました」
日本に興味を持ち始めたきっかけを尋ねると、ある「ロックバンド」の名前が!
「日本のバンドが好きで、L'Arc〜en〜Ciel(ラルク アン シエル)などをきっかけに日本を好きになったんです。当時は、カセットテープを買って聞いていたので、バンドメンバーの顔も知りませんでしたが(笑)。世代にもよりますが、タイでは日本の音楽も人気があるんですよ」
なんと、ラルク アン シエル……! 日本でも人気が高いロックバンドですが、音楽好きのNさんはタイでアンテナを張り巡らせて、“ラルク”をきっかけに日本に興味を持ち始めたのだそうです。
「日本にいるときは、『辛さを増してください』と言ってしまいます」
Nさんの出身国であるタイといえば、トムヤムクン、パッタイ、カオマンガイ……と、有名な料理がたくさんあり、“グルメ大国”としても愛されている国。日本でもタイ料理の人気は高く、全国津々浦々にタイ料理店がひしめいています。「日本のタイ料理」の味は、本場のものとはどのような違いがあるのでしょうか。Nさんに聞いてみると、「そうですね……」とほほ笑みながら、こんなことを話してくれました。
「日本のタイ料理は、とにかく“やさしい味”という印象です。辛さや味付けも、日本人向けに作られている。タイ人向けのタイ料理は味も濃く、辛さのレベルもすごく高いんです」
日本人にとっては(特に筆者の場合)、日本でタイ料理を食べるときもだんだん汗が噴き出してきて、十分辛い……と感じてしまいますが、本場のタイ料理はより辛いということなのでしょうか?
「タイにいるときは、必ず『辛さを控えめにしてください』とオーダーしないと食べられないほど辛いんです。反対に、日本にいるときは、『辛さを増してください』と言ってしまいます。ちなみに私は、同じタイ人に比べると、辛さに耐性がない方だといえますね」
なるほど、本場だとさらにケタ違いの辛さなのですね……。
タイ人にとってのパクチーは、日本でいうと「パセリ」「薬味」
「いいえ、現地で提供されるタイ料理には、パクチーは本当に少ししか入っていないんです。タイ人にとってのパクチーは、日本でいうと『パセリ』とか『薬味』のようなものですね。ですから、日本人がこんなにたくさんパクチーを食べるのが驚きなんです。タイには、“パクチーだけの料理”もありません」
ええっ、では「パクチーサラダ」のような料理もタイにはないのでしょうか?
「ないですね。パクチー自体、特に人気がある食材というわけではないので、料理にパクチーがのっていなくても気付かないことも多いです(笑)」
タイ料理好きで、“パクチー狂い”の筆者にとっては衝撃だった「タイ人はパクチーにあまり興味がない」という事実。料理に彩りを添えるため、仕上げに使われる「パセリ」のような存在感といわれると、なんだか納得感もあったのでした。