上司や目上の人と話している中で、「モアベター」ということばを耳にしたことがある人も多いでしょう。モアベターは「より良い」という意味合いで使われていることばですが、若い世代の人たちにとっては、「意味がよく分からない」と感じるビジネス用語の1つかもしれません。
そこで今回は、現役フリーアナウンサーの新保友映が「モアベター」の意味や使い方、注意点などについて分かりやすく解説します。
関連記事:【ビジネス用語114選】サラリーマン・社会人に必須のカタカナ・略語一覧! 例文もあり
<目次>
・ビジネス用語「モアベター」の意味
・ビジネスシーンにおける「モアベター」の使い方
・モアベターを使うときの注意点・ビジネスマナー
・まとめ
ビジネス用語「モアベター」の意味
具体的な使い方を知る前に、まずはビジネスシーンにおける「モアベター」の意味や由来について理解しておきましょう。・モアベター(more better)は和製英語
モアベターは「もっと」を意味する「more」と、「より良い」を意味する「better」が組み合わされてできたことばです。気付いた人もいるかもしれませんが、どちらも「もっと、さらに」という比較の表現であるため、英語の表現としては誤りとなります。上司に対し「それ、和製英語ですよ」などと間違いを指摘する必要はありませんが、あくまでも和製英語であるということを理解しておきましょう。
ビジネスシーンで使われ始めたのは1980年代で、当時映画評論家・タレントとして活躍していた小森和子氏が生み出した表現だといわれています。決めセリフである「次はモアベターよ!」がお茶の間からビジネスまで広く浸透したため、当時のメディアから影響を受けた世代は「モアベター」と聞くと瞬時に理解できるのです。
・ビジネス用語「モアベター」の意味
文字通りに訳すと、モアベターは「もっともっと良い」という意味になりますが、ビジネスシーンにおいてはシンプルに「より良い」といった意味で使われています。よく似たことばに「ベター(better)」がありますが、こちらは2つの対象を比較して「こちらの方が良い」と一方に決めるときに使う表現のため、意味や使い方が異なることを覚えておきましょう。
ビジネスシーンにおける「モアベター」の使い方
なじみがある世代にとっては、「モアベター」は使いやすく汎用性の高い表現です。ビジネスシーンでの会話で日常的に使われることもあるため、その場で理解できるよう使い方についても知っておきましょう。・AとBの両チームにプレゼンしてもらって、モアベターな方を採用しよう。
・前回の資料と今回の資料を比較したが、今回の方がモアベターだったね。
・今の時代、銀行で借り入れるよりクラウドファンディングに挑戦する方がモアベターだと思わないか?
このように、2つの比較対象があり、どちらが良いかを決定する際に「モアベター」を使います。この使い方を理解しておけば、例えば急に「どちらがモアベターだと思う?」などと聞かれたときにも焦らず答えることができるでしょう。
モアベターを使うときの注意点・ビジネスマナー
先にもお伝えしましたが、「モアベター」は和製英語です。英語の文法として誤った表現であるため、海外の人や英語圏の取引先に向けて使わないように気をつけなければなりません。相手によっては、こちらの意をくんで「こっちの方が良いのかな?」などと解釈してくれるケースもあると思います。しかし、ビジネスシーンで相手に気を遣わせてしまうことになるため「モアベター」を使うのは避けましょう。どうしても「より良い」を表現したい場合は、「much better」がおすすめです。「much」には「たくさんの、多くの」といった意味があり、実際に英語圏でも「より良い」というニュアンスで使われている表現です。
ほかにも、以下のような表現が使われています。
・far better:「こちらの方がずっと良い」など、その差を表したい場合
・even better:「どちらも良いけど、こっちの方がさらに良い」と伝えたい場合
まとめ
モアベターの意味や正しい使い方、使う際の注意点などについて解説しました。ビジネスシーンでは「モアベター」は「より良い」といった意味合いで使われています。1980年代に流行した言い回しのため、最近では使われることが減っているかもしれませんが、突然上司に言われて困ってしまわないように、使い方を理解しておくと安心です。ただし、和製英語であり英語表現としては通じないため、海外の人や取引先に向けて使わないようにしましょう。■執筆者プロフィール 新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。