「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の正しい使い分けは? 上司に使うときの注意点も解説

ビジネスシーンで聞く「お疲れ様です」や「ご苦労様です」といったことば、正しく使えていますか。トラブルを避けるためにも、現役フリーアナウンサーの酒井千佳が「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の違い、上司に使うときの注意点について解説します。

「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の正しい使い分けは? 上司に使うときの注意点も解説
「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の正しい使い分けは? 上司に使うときの注意点も解説

ビジネスシーンで毎日のように使われている「お疲れ様です」と「ご苦労様です」という言い回し。あいさつ代わりに何気なく使っていると、気付かない間に相手に不快な思いをさせている可能性があります。そこで不要なトラブルを引き起こさないために、現役フリーアナウンサーの酒井千佳がビジネスシーンにおける「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の正しい使い分け、上司に使うときの注意点などについて解説します。

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<目次>
「お疲れ様です」「ご苦労様です」の意味とは
「お疲れ様です」「ご苦労様です」の使い分け
「お疲れ様です」の例文
「ご苦労様です」の例文
まとめ

「お疲れ様です」「ご苦労様です」の意味とは

「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の正しい使い方を解説する前に、まずはそれぞれの本来の意味について理解しておきましょう。

・「お疲れ様です」の意味
もともと「お疲れ」「お疲れ様」は、疲れているであろう相手を敬い、気遣うためのことばとして使われていました。また、かつては人々が仕事を終えて疲れていると思われる夕方に交わすあいさつでしたが、現在では時間を選ばずに使える表現として広く活用されています。

「こんにちは」や「久しぶり」といったあいさつ代わりにもなるため、たまたまエレベーターが一緒になったとき、相手に話しかけたいときなど、定型句として活用できる非常に便利な言い回しといえるでしょう。

・「ご苦労様です」の意味
「ご苦労様です」も「お疲れ様です」と同じように、疲れている相手をねぎらう意味を持っています。「ご苦労」とは相手の苦労のことを指し、相手に仕事を依頼したときなどに、その苦労を気遣って使われるのが一般的ですが、最近は「お疲れ様」と同じようにあいさつ代わりに使われるケースも多くあります。

一方、「ご苦労様」は、相手のムダな骨折りをバカにする気持ちを含んで使われることがあるということを理解しておかなければなりません。ドラマなどで、頑張っている相手に向かって「暑いのにご苦労なことだ」などと使われているのを聞いたことがあるでしょう。使い方によっては相手に不快な印象を与えることがあるため、ビジネスシーンにかかわらず使い方には注意が必要です。

「お疲れ様です」「ご苦労様です」の使い分け

「お疲れ様です」と「ご苦労様です」はどちらも相手をねぎらう意味で使われていることばですが、一体どこに違いがあるのでしょうか。
「お疲れ様です」「ご苦労様です」それぞれの正しい使い方について解説します。

・「お疲れ様です」の正しい使い方
基本的に、ビジネスシーンにおいて「お疲れ様です」は立場を問わず、誰に対しても使える言い回しです。そのため、上司など目上の人に対して「お疲れ様です」と使っても問題ないのです。とはいえ、本来「ねぎらう」という行為は、目上の人が目下の人にするものであるため、中には上司に対して使いにくいという人もいるかもしれません。そんなときは「お疲れ様でございます」など、より丁寧な言い回しにするといいでしょう。反対に、同僚や部下に使うときには「お疲れ」「お疲れ様」など、カジュアルな使い方もできます。

ここで注意したいのが、「お疲れ様です」を社外の相手に使うのは好ましくないという点です。「お疲れ様です」はあくまでも、日常的に顔を合わせる相手をねぎらうあいさつであるため、取引先やお客さまに使うと失礼にあたります。代わりに「いつもお世話になっております」を使い、感謝を伝えたいときには「ありがとうございます」と言い換えましょう。

・「ご苦労様です」の正しい使い方
「ご苦労様」の由来としては、昔お殿様が家来に向けて「ご苦労であった」とねぎらったことから始まった、あるいは軍人が徴兵された青年らに対し「ご苦労」と声をかける様子が市民の間にも広がった、など諸説あります。いずれにしても、こうした背景から「ご苦労様です」は目上の人が目下の人に対して使うというルールが定着したのです。

ビジネスシーンにおいても、上司に向けて「ご苦労様です」を使うと失礼にあたるため、使う相手は部下や後輩に限定されることを日頃から意識しておいてください。目の前に上司がいる場合は、感謝を伝えたいなら「ありがとうございます」、先に退社する際のあいさつなら「お先に失礼します」や「お疲れ様でした」など、シーンに合わせて使い分けるといいでしょう。

「お疲れ様です」の例文

以下に、「お疲れ様です」の具体例をご紹介します。

・「お疲れ様でした、これで一安心ですね」(抱えていた仕事が一段落した場合)
・「お疲れ様です、お先に失礼します」(上司よりも先に退社する場合)
・「長い間、お疲れ様でございました。たまには遊びに来てくださいね」(上司が定年退職する場合)
・「皆さま、お疲れ様です。まずは、お手元の資料をご覧ください」(社内で会議を行う場合)

「ご苦労様です」の例文

次に、「ご苦労様です」の例文をご紹介します。

・「皆さま、本日はご苦労様でした」(社長が社員に感謝を伝える場合)
・「ご苦労様、今回は君のおかげで助かったよ」(部下に力を貸してもらった場合)
・「ご苦労様、明日もよろしく頼むよ」(退社する部下に声をかける場合)

まとめ

「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の意味や正しい使い分けについて、例文を用いて解説しました。「お疲れ様です」と「ご苦労様です」はどちらも相手をねぎらう言い回しではありますが、「お疲れ様です」が立場を問わず誰に対しても使えるのに対し、「ご苦労様です」は目上の人に使うと失礼にあたるという点が大きな違いです。

また、原則として「お疲れ様です」を社外の人に向けて使うのは不適切です。ビジネスシーンにおいては、何気なく言ったことばが信頼関係に大きな影響を与えることもあるため、上司や取引先、お客さまと良好な関係が築けるよう、ことばの正しい使い方を身につけましょう。

■執筆者プロフィール

酒井千佳
酒井 千佳(さかい ちか)
フリーキャスター、気象予報士、保育士。
京都大学 工学部建築学科卒業。北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。NHK「おはよう日本」、フジテレビ「Live news it」、読売テレビ「ミヤネ屋」などで気象キャスターを務めた。現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育にも携わっている。
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