大ブレークした2023年、俳優としてさまざまな表情を見せる
ファンはもちろん演技力の高さを認知していましたが、グラビア活動などがあったことで、どこかアイドル的な女性俳優だと見ていた人も多かったのではないでしょうか?そんな今田さんは、2022年に『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』(日本テレビ系)で、ドラマ初主演を担当します。ドラマで主人公・田中麻理鈴を演じますが、このキャラクターはポンコツだけど型破りな新入社員。漫画原作の作品で、1992年に石田ひかりさん主演で『悪女(わる)』としてドラマ化されています。
かなりクセのあるキャラクターで、しかもすでにドラマ化もされている難しい役所ながら、独特な髪形で常識にとらわれない麻理鈴を熱演。改めて、演技力の高さを見せつけました。
さて、2023年に入ると映画『わたしの幸せな結婚』に出演。目黒蓮さんが映画単独初主演を務めたことで話題になった作品で、今田さんはヒロイン・斎森美世を演じます。ヒロインとして、映画の大ヒットに貢献しました。
美世は麻理鈴やヒナと違い、不幸な生い立ちで幸せになることを諦めて生きてきた女性。映画の序盤では表情も暗く、明るく元気なイメージのある今田さんとは思えない役柄でした。そんな美世は、目黒さん演じる久堂清霞と出会うことで、深い愛情を知ることになります。
映画の後半、希望に満ちた表情を見せるようになっていく美世ですが、今田さんは大げさにならないように繊細な演技で表現し、一気に見ている人の心をつかみました。
3クール連続でドラマ出演! 異なる人物像を見事に表現
そんな好演技を見せた今田さんですが、2023年はドラマ作品に連続して出演。4月クールの『ラストマン-全盲の捜査官-』、7月クールの『トリリオンゲーム』(ともにTBS系)、そして10月クールの『いちばんすきな花』(フジテレビ系)ではクワトロ主演の1人を務めます。『ラストマン-全盲の捜査官-』で演じた吾妻ゆうきは、少しオタク趣味もある技術支援捜査官。真っすぐな性格で警察官らしく正義感にあふれ、福山さんが演じた主人公・皆実広見をサポートし続けます。
かたや、『トリリオンゲーム』では、クセがありすぎる社長令嬢の黒龍キリカ(桐姫)を担当。キリカは傲慢(ごうまん)で強気な女性で、色っぽい衣装も毎回話題を集めました。こちらでも目黒さんと共演し、抜群のコンビネーションでドラマを盛り上げ続けました。
吾妻とキリカは性格も身分も全く違うのですが、今田さんのフィルターを通すと、あたかも現実世界にいるようなリアリティーを感じます。社長令嬢と捜査官を演じわけることができる能力は確かなもの。演技力の幅の広さを証明することになりました。
かと思えば、『いちばんすきな花』で演じた深雪夜々は、どこにでもいる美容師の女性。美しい見た目が災いし、男性からは異性としてすぐに恋愛対象にされ、同性からはきれいだからと疎まれてきた歴史を持つ女性です。そんなささいなことで生きづらさを感じ、すぐに周囲に合わせてしまう性格になりました。
正直、これまで今田さんが演じたキャラクターの中でも特色が出しづらい役で、さらにドラマはほかの3人の主演とともに、会話劇が中心の構成。夜々らしさを出すには、細かい動きやセリフの強弱、さらにはちょっとした表情で演じるしかないものでした。
結論から言えば、使い古された言葉ですが「等身大」を見事に表現し、多部未華子さん、松下洸平さん、神尾楓珠さんと共に、ドラマの世界観を生み出すことに成功しています。
このドラマでは、4人の主人公の中で今田さんが演じた夜々が、最もリアリティーがあるキャラクターだと感じます。「美人すぎる」をそれぞれが感じているウィークポイントに置き換えれば分かりやすく、夜々が直面した過干渉な母親との関係などを体験したことがある視聴者も多かったと思います。それだけに、今田さんの演技はドラマに没入するためにかなり重要で、結果としてドラマの成功に一役買ったことになりました。
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どんな役でも演じられる、カメレオン俳優としての実力
さて、ここまで昨年の仕事を中心に今田さんの俳優としての魅力を語ってきました。まとめとして、今田さんは頭が良く、しっかりと演じるキャラクターの性格や特性をつかむ能力に長けていると感じます。どんな役でも演じられるカメレオン俳優と呼ばれる人たちがいますが、それぞれがセンスの良さを持っています。今田さんもそういった俳優と同じくキャラクターを自分で飲み込める能力を持ち、その結果として高いレベルの繊細な演技を見せます。
主演でもヒロインでも脇役でも、輝きを発揮できるのは俳優として持って生まれた才能。その力を発揮できれば、『花咲舞が黙ってない』や『あんぱん』など、今後の出演作品も成功に導いてくれるのではないでしょうか?
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。