「All About」ノートパソコンガイドの上倉賢が解説していきます。
(今回の質問)
パソコンは何年くらいで買い替えるべきですか?
(回答)
パソコンの平均的な使用期間は3年から5年程度のようです。おおむね、この期間で買い替えれば、最新の機能も快適に使え、経済的な負担も最小限で新機種への入れ替えができるので、目安にして買い替えるのがおすすめです。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
CPU、電源供給、Wi-Fi……あらゆる面で進化
パソコンは年々機能が向上しています。分かりやすいのがCPUの性能向上です。CPUの性能は年間10%程度向上しており、この割合だと5年での性能向上は1.6倍くらいになります。実際にはコア数、消費電力など、さまざまな機能が向上しているので、この数値以上に機能が向上しているといえるでしょう。また、CPU以外の機能も向上しており、システム全体ではパソコンの生産性はかなり向上しているといえます。例えば、ここ数年のテレビ会議の普及で一気に機能が向上したWebカメラの画質、マイクのノイズキャンセル機能などは、5年くらい前のモデルとは比較にならないほど機能が向上しています。
ほかにも、5年前と現在パソコンの大きな違いの1つとして、USB PD(USB Power Delivery)によるUSB Type-Cを用いた電源供給の対応が挙げられます。これにより、汎用充電器が利用できる機種が増えました。また、5年前の2019年はWi-Fi 6が登場した年でしたが、2024年現在は対応周波数が増えたWi-Fi 6Eが普及しており、Wi-Fi 7対応機器も登場する予定です。このように、CPU以外にもパソコン関連機能は年々向上しており、パソコン全体の使い勝手もよくなっています。
モバイルノートパソコンに注目してみても、変化が分かります。以前は画面の縦横比は16:9のアスペクト比が多かったですが、16:10や3:2など、画面サイズが縦方向に長くなって、文章表示が見やすくなるなど、細かな部分で機能が大きく変化しました。
2024年はAIへの対応に要注目?
そして、2024年に注目なのが、AIへの対応です。従来のパソコンでは、ゲーミングPCなどに使われるグラフィックチップのGPUがAI関連の処理で使われていましたが、特定の製品でしか使えなかったため、あまり活用されてはいませんでした。
しかし2024年に、AIへの対応で新たな流れが本格化しそうなのです。それが、AI専用のNPU(Neural Computing Unit)機能のパソコンへの搭載。インテルのCore Ultra、AMDのRyzen 8040シリーズ、QualcommのSnapdragon X Elite、Apple Silicon MシリーズにNPUが搭載され、2024年に対応機種が多数リリースされる予定です。
従来のパソコンでのAI関連機能は、クラウドでの処理がほとんどでしたが、NPUを搭載することにより、パソコン内部でAI関連機能が使えるようになります。
これまではデータをクラウドに送る必要があったため、情報保護の問題があったり、クラウドサービスの利用料もかかってしまっていました。パソコン内部のNPUでAI関連の処理ができるようになることで、そのような問題から解消され、さまざまな用途での活用が予想されています。
このように、パソコンはCPUなどの基本的な性能向上に加えて、関連機能も向上しており、さらには定期的に新しい使用法への対応もあります。そのため、3年から5年周期で新機種に買い替えるのが経済的な負担も少ないと思います。使い勝手が向上している新しい機種に定期的に買い替えた方が、生産性も向上するでしょう。
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この記事の筆者:上倉 賢
PC(パソコン)のニュースサイトがほとんどなかった10数年以上も前から、個人でノートパソコンに関する情報をWebで発信し続けている。それをきっかけに、現在はノートパソコン専門ライターとして活躍。新聞や雑誌などでもノートパソコン選びの執筆を行っている。
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