そんな「豆まき」について、「All About」暮らしの歳時記ガイドの三浦康子が解説します。
(今回の質問)
節分に豆まきをする理由は? まいた豆はどうするのが正解?
(回答)
年の分かれ目に等しい立春前日の節分に、邪気を払い、福を呼び込むために豆まきをします。室内にまいた豆は拾って年の数だけ食べますが、外にまいた豆は処分するのが基本です。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
節分に豆まきをするようになった由来、意味
本来、「節分」とは季節を分けるという意味で「立春、立夏、立秋、立冬の前日」のことをいいますが、昔は春を迎えることが新年を迎えることを意味していたので、年の分かれ目にあたる立春前日の節分は大みそかのようなもの。そこで新年に向けて邪気払いの行事をするようになり、節分といえばこの日を指すようになりました。節分の豆まきは、平安時代、大晦日に宮中で行われていた「追儺(ついな)」という儀式を原型とする「鬼やらい」に由来します。鬼は邪気の象徴で、病や災害などの悪いことは鬼のしわざとされたため、穀霊が宿る大豆をまいて鬼を払うようになりました。
豆まきの正しい方法は?
豆まきの基本的な手順は、以下の通りです。1. 福豆を用意し、枡に入れて供えておく
・豆まき用に炒った大豆を「福豆」といい、枡に入れて豆まきをするまで神棚などに供えておきます。
・大豆は五穀の1つで穀霊が宿るとされており、粒が大きいのでパワーがあり、魔ものの目(魔目=まめ)に豆をぶつけて魔を滅すること(魔滅=まめ)にも通じます。
・必ず炒った豆を使うのは、拾い忘れた豆から悪い芽が出ないようにするためで、「豆を炒る」=「魔目を射る」で「魔滅」となります。
2. 夜になったら豆まきをする
・鬼は真夜中(丑寅の刻)に活動するので、豆まきは夜が適しています。
・本来は家の主人や年男、厄年の人が豆まきを行いますが、現在は家族みんなで楽しむことが多いようです。
・家の窓や戸を開けて「鬼は外!」と豆をまき、鬼が戻らないようすぐに窓や戸を閉めてから、「福は内!」と室内にまきます。
・奥の部屋から順番に鬼を追い出すようにして、最後は玄関までまきましょう。
3. 年の数(年齢+1個)豆を食べる
・最後に、心身の邪気を払うために豆を食べます。
・食べる数は、自分の年齢よりも1つ多く食べるのが習わしです。これを「年取り豆」といいます。地方によって数が異なることもあります。
豆まきには「生活習慣に対する教訓」も!
「鬼は外」と外にまいた豆は、邪気を払った縁起の悪い豆なので、拾い集めて処分します。「福は内」と室内にまいた豆は、福を呼び込んだ縁起の良い豆なので、拾い集めて食べるのが習わしです。年の数だけ食べたら、料理に使うとよいでしょう。
もちろん、ほこりまみれで汚い豆は食べてはいけません。まいた豆を拾って食べられるくらい日頃からきれいしておく、つまり、部屋がいつも清潔なら健康でいられるので、豆まきにはそうした生活習慣に対する教訓も込められています。
この記事の筆者:三浦 康子
和文化研究家、ライフコーディネーター。わかりやすい解説と洒落た提案が支持され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演、商品企画などで活躍中。様々な文化プロジェクトに携わり、子育て世代に「行事育」を提唱している。著書、監修書多数。