小平市「ふれあい下水道館」って何だ? 本物の下水道管に入れる日本唯一の施設、子どもの学びに最適だった
実際に使用されている「下水道」に入ることができる日本唯一の施設、東京・小平市にある「小平市 ふれあい下水道館」。入館料無料とは思えない、大人にとっても子どもにとっても貴重で刺激的な体験をリポートします。
ここは近代美術館? シュールな展示に立ち尽くす
地下2階の「くらしと下水道」展示室入り口では、思わず立ち尽くしてしまいました。なんだ、このシュールな展示は……! 近代美術館にあっても違和感のないオブジェが展示されていたのです。じょうろを持った子どもの像を見上げると「上から水をかけられるのでは?」と怯えてしまいそうになりますが、この展示は、下水道に流れ込む汚水とはなんたるかを一目瞭然に示しているものです。
地下3階には、小平市の水環境の歴史に関する展示がありました。昔使われていた井戸用具の実物、水の少ない武蔵野台地で生活するために掘られた「まいまいず井戸」の模型が展示されていて、生活と水の歴史を追うことができます。
さらに地下4階の特別展示室では、水環境に関するイベントが期間ごとに開催されているようです。
いよいよ、本物の下水道管に入ります!
いよいよ地下5階の展示室に入り、地下25メートルに設置された、実際に使われている公共下水道管を見学します。この時点でもまだ、下水道管に入るってどういうこと……? と不安な気持ちが拭えないまま。
下水道管の「体験コーナー」入り口。緊張感が高まります。
半円形の前室には、さまざまな計器が並び、ハッチ式の重々しいドアが。この先は、ついに下水道管です。
こ、これが、実際に使われている下水道管! 内径4.5メートルの巨大な下水道管に架けられた体験ステージの上に立ち、果てしなく続くであろう下水管の先を見つめると、あまりに暗くて大きくて、恐怖さえ感じます。そして熱気と、むわっとした下水の臭い。「本物の下水管に入ってしまった!」と今いる状況に改めて驚いてしまいます。
しかし、やはり下水って汚いんです。実際に下水を見ると、こんなに大量の汚水をきれいにすることは容易でないことを実感します。普段、子どもに言ってもあまり響かない「水はなるべく汚さないように、大切に使おう」という言葉が、視覚とともにすっと伝わるような景色でした。
下水道管の見学後は、地下5階から地上1階のエントランスホールまでエレベーターで上がります。地上2階のコミュニティホール「水の図書館」では休憩スペースもありました。
無料の施設とは思えない、驚きや刺激の多い「小平市 ふれあい下水道館」。環境問題についての課題や自由研究の題材としても充分な情報量で、大人にも子どもにも学びの多い貴重な体験ができました。
この記事の筆者:渡辺 有
小中学生を対象にした学習塾講師兼フリーランスライター。塾講師、小学校受験を控えた幼児教室の補助講師だけでなく、3児の母として自らの子育てから培ったノウハウや経験をもとに、受験・教育・子育ての実態について執筆活動を行う。