Q. 世界で最も寒い場所はどこ?
正式な記録として世界で最も低い気温とされているのは、南極にあるロシアの観測基地・ボストークで観測されたマイナス89.2℃です。冷凍庫の中の温度はマイナス18℃、マイナス20℃以下になると眉毛や前髪に霜が付き、マイナス50℃を下回ると星のささやきが聞こえるともいわれており、想像を絶する極寒の世界です。
>世界最低気温の地は夏も極寒
一般人が暮らしていない南極では、氷や岩石など自然の保存条件が良くデータとして扱いやすいため、宇宙や気象、生物などの調査をするためにさまざまな国の観測基地があります。日本も昭和基地のほかに、みずほ基地、あすか基地、ドームふじ基地の4基地を南極大陸に置いています。ここで調査を行う南極観測隊は、一体どんな暮らしをしているのでしょうか。
特に気になるのが食生活です。南極の陸地は分厚い氷で覆われているため、植物はほとんど育ちませんし、当然のことながらスーパーや飲食店などはありません。現地での食糧確保は困難なため、米や肉、野菜、そのほかインスタントラーメンなど隊員が必要な食糧のほぼ全てを日本から持ち込むそうです。その量は1人当たり年間約1トン、隊員30人分とすると約30トンにもなります。
レタスやキュウリなどの生野菜は、室内で水耕栽培装置によって育てることもあります。また、雪を融かして飲料水や生活用水として使用することもあるそうです。過酷な環境の中で、南極調査隊は岩石や動植物の調査、氷床の掘削、オーロラの観測などさまざまな活動を行い、その調査結果は地球温暖化などの研究にも役立てられています。
今シーズンの日本は暖冬だと予想されていますが、平年より気温の高い時期に一時的に強い寒気が流れ込むとその分、寒暖差が激しく体にこたえます。一段と冷え込みの強まる季節、日々の体調管理に注意しながら春を待ちましょう。
<参考>
気象庁
環境省「南極地域の環境保護」
幌加内町
『面白いほどスッキリわかる!世界の気候と天気のしくみ』(今井明子/産業編集センター)
『もっとすごすぎる天気の図鑑 空のふしぎがすべてわかる!』(荒木健太郎/KADOKAWA)
1991年生まれの気象予報士。現在は『首都圏ネットワーク』(NHK総合)などで気象解説を担当。防災情報を正しく活用してもらうための普及啓発として講演活動にも取り組む。