1年間お世話になったビジネスパートナーに感謝を込めて、年末の挨拶をメールで送る人も多いはず。どのような点に気を付ければよいのでしょうか。
「All About」話し方・伝え方ガイドの藤田尚弓が回答します。
(今回の質問)
年末の挨拶をビジネスメールで送るとき、どのように書けば良いですか?
(回答)
ビジネスの相手には敬意を示す文面を送るのが基本ですが、忙しい時期にテンプレートのような挨拶文を送っても読んでもらえません。かた過ぎない文体で、個人的な感謝のメッセージを含めて作成しましょう。
心を込めた感謝は、人間関係の強化につながる
お歳暮を送ったり、取引先も含めて忘年会を行うといった慣例はなくなりつつありますが、1年の感謝を伝えるのは依然として大変重要。社交辞令やマニュアルではない感謝の言葉は、人間関係の強化やサポートしあう関係の土台構築にも繋がります。常日頃からポジティブなコミュニケーションをとっておくことで、誤解や軋轢を減らす効果も期待できるでしょう。個人的なメッセージを含めたメールを
もし、「年末のご挨拶」というタイトルで以下のようなメールが来た場合、皆さんはどう感じるでしょうか。
「拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。早いもので今年も残りわずかとなりました。今年一年、○○様とのご縁に感謝申し上げます。来年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。」
テンプレートのような文面では読み飛ばされてしまいますし、記憶に残りません。もちろんビジネスメールは敬意を表すことが大切ですが、自分の言葉で丁寧に感謝を伝える方が心に残ります。コピペではないと分かるような、個人的なメッセージを含めるといいでしょう。以下が例文です。
「早いもので今年も残りわずかとなりました。
私にとっての2023年を漢字一文字にするなら「挑」です。様々なチャレンジをする中、○○さんには、××の件や△△のプロジェクトにおいて、大変お世話になりました。
くじけそうな時に若いときの話をしてくださったことが印象に残っています。おかげさまで、無事にやりきることができました。ありがとうございました。
来年も引き続き、ご指導よろしくお願いします。
寒さが厳しい日が続いておりますので、お体を大切になさって、良いお年をお迎えください。」
「こんなに短くていいの?」と思うかもしれませんが、忙しい時期の挨拶メールは長過ぎるのもよくありません。コンパクトに感謝の気持ちが伝えられればOKです。
相手に自分の貢献が認められていると感じると、仕事に対するモチベーションもあがりますし、また何かしてあげたいという気持ちになるものです。互いに気持ちよく仕事をするためにも、具体的なことを挙げて感謝の気持ちを伝えるようにしてみてください。
株式会社アップウェブ代表取締役。社会心理学領域のコミュニケーションの専門家として、企業研修や研究・執筆、早稲田大学オープンカレッジ講師、TVコメンテーターなど幅広く活動。日本社会心理学会、日本応用心理学会所属。